筆者は以前書いた記事で、2016年にNoSQLの躍進が減速した原因の一端はクラウドデータベースにあると指摘したが、それらのクラウドデータベース自体の成長もやや鈍化しつつあるようだ。「Stack Overflow」での言及頻度や求人情報などのさまざまなデータを使って算出されているDB-Enginesのデータベース人気ランキングを見ると、各クラウドデータベースの順位は、世界の人気データベーストップ25にランクインする勢いで急上昇し続けている(Amazonの「DynamoDB」はすでにトップ25にランクインしている)。しかし同時に、クラウドデータベースの躍進に、以前ほどの勢いがなくなっていることも分かる。
これは、クラウドデータベースの導入が最盛期に差し掛かっていることを意味しているわけではない。むしろ、開発者がインフラやデータをすべてクラウドプロバイダーに預ける準備ができてないということかもしれない。
ゆっくり着実に
DB-Enginesの数字を詳しく見ていけば、クラウドデータベースが成長を続けていることは明白だ。その勢いは、この4年で人気が約10倍になっていることからも分かる。
これはいいニュースだ。
悪いニュースについて理解するには、DB-Enginesがデータをどう処理しているかを知る必要がある。
システムの人気を示す値は、各パラメータを標準化して平均することで計算されている。これらの数学的処理は、各システム間の距離が保たれる形で行われている。これは、DB-EnginesのランキングでシステムAの値がシステムBの2倍であれば、各評価基準の値を平均しても、人気は2倍であることを意味している。各データの量を変換したことによる影響を排除するために、人気スコアは常に相対的な値になっているため、他のシステムと比較する文脈でのみ解釈されるべきだ。
DB-Enginesが「相対的ランキング」であることを念頭に置いてスコアを見ると、「AWS」や「Microsoft Azure」「Google Cloud」が高い人気を誇っているのに比べ、クラウドデータベースのスコアは、既存の主要なデータベースシステムと比較すると、それほど増えているとは言えない。
すべては相対的
例えばAmazonのDynamoDB(2016年3月には26位だったが、現在は22位)は、「MongoDB」(5位)と比べ10%の人気しかなく、過去1年間ではMongoDBと比べて約3分の1の速さでしか人気スコアが増えていない。あるいは「Microsoft Azure DocumentDB」(77位から55位にランクアップ)の人気は、「Apache Cassandra」(8位)の3%しかない。 ただし、DocumentDBの人気は過去1年間でゆっくり上昇しているのに対して、Cassandraの(相対的な)スコアは少し落ちている。