ビジネスITの世界は変化が激しくなっているが、先日、2017年はマーケティング部門へのテクノロジ投資がIT部門のそれを上回る見込みだという発表があった。特にB2Bデジタルマーケティング分野はマーケティングオートメーションの導入においても、活発に議論されているという。そこで今回、B2Bハッカーの飯室淳史氏、アクセンチュアの槇隆広氏、2BCの尾花淳氏、KDDIの中東孝夫氏を招き、座談会を開催した。今回は4回目(第1回)(第2回)(第3回)。参加者は以下の5人。
参加者
- B2Bhack.com B2Bハッカー(ビジネスファシリテーター)飯室淳史 氏
- アクセンチュア株式会社 マネジング・ディレクター デジタルコンサルティング本部 槇隆広 氏
- 2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
- KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫 氏
- 司会 ZDNet編集部 山田竜司
組織をデザインするより、啓発する人を動き回らせる
ZDNet:マーケティングオートメーションとアカウントベースドマーケティング(ABM)の話から、両方ともやはり、データベース連携や部門間連携などが重要だと感じました。こうした新しいツールやマーケティング手法に対して、どのような組織だったらそれが実現できるのでしょう。
中東氏:私が社内で話をしているのは、マーケティングは前行程であって、後工程のセールス部門の人たちの行動や成果を最適化・最大化しないと、存在意義がないということです。
2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
マーケティングで案件を作りセールスに渡す。ですから、マーケティング部にはセールス部門から評価される仕掛けが重要です。具体的にはSQL(Sales Qualified Lead:営業がフォローする見込み案件)の金額や数などです。「価値がある」と判断されるよう「マーケティング部門をきちんと社内でマーケティングすることが大事」とよく言っています。
また、マーケティングもある意味では後工程です。マーケティングの前工程とは、インフラやデータを扱うことであり、IT部門はマーケティングの前工程を担っているともいえます。
一方、(IT部門に自分たちがマーケティング部の前工程という意識はなく)「ガバナンス」という"言いわけ"でマーケティング部の活動を縛ろうとしているとも感じます。マーケティング部は、セールス部門から評価されますが、マーケティング部が(前工程である)IT部門を評価する仕掛けがない。
IT部門がマーケティング部のことを見ていないと、マーケティング主導のIT投資はどんどんこれから増えていくのだろうなと。IT部門がこちらを向いてくれないのならば、マーケティング部は「ニーズに応える必要があるから自分たちでやる」という風になってしまう。だからマーケティング部門がIT部門を評価する仕掛けがあるといいなと思います。