今週の明言

孫子の兵法に習ったトレンドマイクロのパートナー連携 - (page 2)

松岡功

2017-04-14 10:09

 今回のMSSパートナーとの連携強化は、まさしくこの考え方に基づいたものである。セキュリティ専業ベンダーによるパートナーエコシステムの新たなあり方を示したともいえそうだ。

「中小企業に対してシスコの認知度をもっと上げていきたい」
(シスコシステムズ 高橋慎介 専務執行役員)


シスコシステムズの高橋慎介 専務執行役員

 シスコシステムズが先頃、「Cisco Start」ブランドで展開する中小企業向けネットワーク機器製品群の強化を発表した。同社の専務執行役員でパートナー事業を統括する高橋氏の冒頭の発言は、その発表会見で、Cisco Startによる中小企業向け事業へのさらなる意気込みを語ったものである。

 シスコが中小企業向けネットワーク機器製品群の新ブランドとして2015年9月に発表したCisco Startは、日本法人が米国本社に要請して製品開発を行った日本向けのソリューションである。

 その内容は、従業員100人以下の企業に適したルータやスイッチ、アクセスポイント(AP)、ネットワークセキュリティ製品などで構成されており、シンプル(簡単)ながらスマート(高機能)でセキュア(安全)なソリューションであることを基本コンセプトとしている。

 Cisco Startはこれまで半年ごとに強化しており、今回が4回目。継続的な強化により、2017年度(2016年8月〜2017年7月)の売上高は前年度比で倍増する見込みだ。また、2015年10月時点で60社だった販売パートナーも2017年3月には4100社に拡大したという。

 高橋氏によると、今回の強化策は3つ。1つ目は新しいブランドロゴやキャンペーン展開による「ブランドの強化」、2つ目はサーバやワイヤレスなどの「新製品の追加」、3つ目は中小企業向けリースサービスによる「シンプル購入」である。(図参照)


Cisco Startにおける3つの強化策

 これら3つの強化策の詳細については関連記事をご覧いただくとして、ここではブランドの強化について、高橋氏の以下のコメントが印象強かったので紹介しておきたい。

 「Cisco Startの売れ行きは非常に好調に推移しており、中小企業の市場に着実に浸透しているという手応えがある。ただ、販売パートナーからの要望として、中小企業の間ではシスコそのものの社名や製品に対する認知度がまだまだ低いことから、まずはブランドをもっと浸透させる手立てを講じてほしいとの声も上がっている。今回のブランドの強化はそうした声に応えたものだ」

 冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。さらに高橋氏は、「シスコは昨年、2020年に開催される東京オリンピックのオフィシャルスポンサーになった。これに今回のCisco Startの強化策を合わせることによって、シスコのブランドが日本の隅々まで認知されるようにしていきたい」と強調した。

 その意味では、Cisco Startはシスコにとってこれまでにないチャレンジビジネスだ。陣頭指揮を執る高橋氏の手腕に注目しておきたい。

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