ジャーナリズム
Tapscott氏は、ブロックチェーンによって認証されたマイクロペイメントによって、音楽業界と同様にジャーナリズムの世界にも変革の波が押し寄せると述べている。例えば、報道記事を収めた各ファイルに権利情報を埋め込んでおき、読者が実際に読んだコンテンツごとにごく少額を課金することも可能になる。これにより、読者はどれが読むに値する記事かを考えるようになり、優れたジャーナリズムに対価が支払われるようになるわけだ。さらに同氏は、「これはジャーナリズムがフェイクニュースと戦うために必要となる決済システムになり得る」と述べた。ただ、筆者は報道のプロフェッショナルとして、テロリストや社会問題に関する調査報道よりもセレブの小ネタの方が数多く閲覧されているという現状について憂わざるを得ない。しかし、これは価値ある実験となるだろう。
まとめ
一般的な人々がブロックチェーンというテクノロジを利用するようになるまでには、まだまださまざまな作業が必要となるのは間違いない。現在では、技術的な試練を乗り越えなければならない場合もしばしばある。とは言うものの、ブロックチェーンという名前ではないかもしれないが、ブロックチェーンを用いて構築されたサービスが日常生活に浸透する日がやって来るはずだ。
また、ブロックチェーン革命自体は、お金の流れを生み出す新たな事業が創出されないということを意味しているわけではないが、現在のあり方がリセットされ、企業は単なるトランザクションのやり取りではなく、より多くの価値を生み出さなければならなくなるという意味を持っている。ブロックチェーンの普及によって、少数の信頼された実体に権限と富が集中するのではなく、多くの競合が世に出てくるようになり、さまざまな花が咲き乱れる世界がやってくるだろう。
Tapscott氏はそれでも「経済のパワーグリッドをリエンジニアリングするための機会は膨大だ」と述べた。
われわれは、富の集中が必然的に生み出される資本主義のルールをブロックチェーンが書き換える可能性を秘めているという事実について熟考する必要がある。同氏の考えでは、これは富の再配分というよりも、より多くの人々に対して多くの機会をもたらすことによって富を「あらかじめ再配分する」ものだという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。