2017年上半期にIT業界で注目を浴びた「Mastodon」(マストドン)。6月7~9日に開催された「Interop 2017」の基調講演では、「マストドンを作った理由」をテーマに生みの親であるEugen Rochko氏がSkypeで参加し、「mstdn.jp」の構築支援を行っているさくらインターネット研究所所長の鷲北賢氏と、“コードを書けるタレント”の池澤あやか氏の質問に答えた。その模様をレポートする。
「Ruby」を愛用
モデレーターを務めた角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員の遠藤諭氏は、まず超満員の会場でマストドンの認知度を確かめた。受講者のほとんどがマストドンを知っており、およそ3割はアカウントを取得、インスタンスを立ち上げている人も数人いた。
Skypeで参加したマストドン開発者のEugen Rochko氏
会場の大画面モニターに登場したRochko氏に、池澤氏は、まず普段の業務やオフの過ごし方について質問した。Rochko氏は6年以上、エンジニアとしてウェブの開発に携わってきたと答え、ソフトウェア開発やアートコミッションのマーケットプレイスを提供するスタートアップの支援をしているほか、フリーランスとしても活動している。オフには音楽を聴いたりギターを弾いたり、モバイルゲームを楽しんでいるといい、「でも、マストドンほど面白いものはないですね」と付け加えた。
池澤氏は続けて、GitHubで見たマストドンのプログラムコードに、「読みやすくて美しく、教科書に使えるほど分かりやすい」と賞賛し、好みの言語について尋ねた。
Rochko氏は、「メインで気に入って使っているのはRubyです。シンタックスが非常にすばらしく、セルフディスクリプティブであることも気に入っています。また、フォーマットやスタイルを維持できることで、他の人がどう書いているのかが分かり、どう貢献すればいいかも分かりやすいですね」と回答。JavaScriptも時々使うとのことだが、「こちらを愛することは難しいですね。PHPやGoもコンパイルがきれいなのでで、好きです」と語った。
マストドンにおいても、サービスオブジェクトのパターンを使っていることから、コードが読みやすいとしてRubyを使っているという。これにより、モデルビューのコントローラーが強化され、複雑なオペレーションが特別な場所にカプセル化されるので、見つけやすく使いやすいという。Rochko氏は10代の頃からプログラミングをしており、大学ではコンピュータサイエンスの学士を取得している。