「AIを活用した顧客動向予測分析で、企業のマーケティング活動を支援したい」
(台湾Appier Magic Tu バイスプレジデント)

台湾AppierのMagic Tu バイスプレジデント
デジタルマーケティングを支援する台湾Appier(エイピア)が先頃、人工知能(AI)を活用して顧客動向予測分析を行うデータプラットフォーム「アイソン(AIXON)」によるサービス提供を日本で開始すると発表した。Appierでプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントを務めるTu氏の冒頭の発言は、その発表会見で、日本での事業展開に向けた意欲を語ったものである。
アイソンは、企業がこれまで保有してきたデータと、アジア圏で利用されている約20億台のデバイスを通じてAppierが収集した消費者の行動や好みに関するデータを統合し、AIによって消費者の予測分析を可能にするデータプラットフォームである。(下図参照)

「アイソン」の概要
技術的なポイントとしては、PCやスマートフォンなど複数のデバイスを利用するユーザーを対象に、AIを活用してユーザーがどの端末を使っているかを自動的に感知し、各デバイスに最適なフォーマットとタイミングで情報を発信する「クロスデバイスターゲティング」というデジタルマーケティング手法を採用している。
これにより、企業はアイソンを使って特定の消費者や顧客のデータをピックアップして自社のCRMシステムと連携したり、広告配信プラットフォームと連携させてマーケティング施策を展開できるという。
Tu氏によると、「ネット通販業者がウェブサイトのデータを分析し、最も購入しそうなユーザーを特定することでオンラインセールスやコンバージョン率を増加させたい」、あるいは「モバイルアプリ事業者が、離脱の可能性が高いユーザーを特定し、リエンゲージメント施策を展開することで離脱を防ぎたい」といった利用例もあるとのことだ。
アイソンというネーミングから、「IBMのワトソン(Watson)を追撃したいといった野望があるのか」と会見の質疑応答で聞いてみたところ、Tu氏は「IBMのワトソンは用途が幅広いが、アイソンは消費者や顧客の動向を予測分析する仕組みで、用途を特化している」とだけ答えた。
2012年設立のベンチャー企業だが、既に日本を含むアジア地域で14の事業拠点を持ち、500社を超える導入実績があるという。日本では直販を中心にスタートするというが、パートナーエコシステムづくりが今後の課題となりそうだ。