いくらきれいなブランド戦略を描いても、実際にそれを体現するクリエイティブ(ウェブサイトや SNSなど)が伴わないことには意味がない。
反対に、どれだけクリエイティブを作りこんでも、それを届けるターゲットや入念に紡ぎ出されたその企業“らしさ”(Core Brand Essence)とリンクしていなければ意味を持たない。WHO・WHAT・HOWの統合的ブランド戦略の構築が重要である。
先に紹介したGEは、Digital Industrial Companyへの変革に向け、新たな採用ターゲットの策定・新たなCore Brand Essenceの定義・新たなチャネルの活用を、統合的・一気通貫で実施していた。
さらに、GEは「What’s the matter with Owen」キャンペーンのような対外的なブランドコミュニケーションだけでなく、内部の人事/採用施策についても次々と新たなものを導入しており、名実ともに徹底的なブランディング戦略を推進していると言える。
懐疑的な嗜好性を持つと言われている現代のミレニアル世代にとって、“口先だけでない”ブランディング活動も大きなポイントになってくるのではないだろうか。
デジタル・ミレニアル人材採用の重要性・難易度が高まる中、採用ブランディングの構築は、企業の規模に関わらずデジタルビジネスを推し進めるIT企業全社にとって取り組むべき一大アジェンダといえるだろう。
- 石毛 究(デロイトトーマツコンサルティング コンサルタント ブランド戦略リードストラテジスト)
- ブランド戦略・採用ブランド戦略サービス・リードストラテジスト。入社以来、大手IT・総合電機等を始め幅広い業界を対象に、デジタル戦略案件(マーケティング戦略/ ブランド戦略/クリエイティブ戦略)やグローバル案件(大規模M&Aなど)に従事し、社内トップ人材の評価を獲得。戦略だけでなく、実際のクリエイティブスキルも有する、唯一無二の存在。
- 田中公康(デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー)
- 外資系コンサルティングファーム、IT系ベンチャー設立を経て現職。直近では『デジタル人事』領域のリーダーとして、生産性向上に向けたワークスタイル変革やIT活用支援、クラウド基盤やゲーミフィケーション理論・スマートデバイスを活用した健康経営推進支援などのプロジェクトを多数手がけている。『ワークスタイル変革』(共著、労務行政)他、執筆・講演多数。