「ビジネスを発展させ競争優位性を確立するデータ分析に必要なのは、アセットの最適化と的確な技術への投資だ」とRatzesberger氏は説く。
そして、分析によって得られた知見を実際のビジネスに活用し、自らが既存ビジネスをディスラプティブ(破壊的)にすること。分析技術を(既存のレポートのような)発見ツールとしてしか利用しないのであれば、外部から破壊されてしまうというのが同氏の見解だ。
基調講演ではデータ分析で破壊的なイノベーションに成功した企業として、米Procter and Gamble(P&G)とオランダのMaerskを挙げた。
P&Gの電動歯ブラシ「ブラウン オーラルB」は、センサとBluetoothを備え、スマートフォンと連携する。リアルタイムで歯磨きデータを収集、分析することで、スマホアプリで的確なブラッシングをアドバイスしたり、健康チェックをしたりできる。Ratzesberger氏は「単なる歯ブラシがデータ分析により口腔ケアデバイスになった好例だ」と説明する。
一方、Maerskはコンテナに位置情報などを収集するセンサを取り付け、空のコンテナを削減して運送を最適化することで15%のコスト削減に成功したという。
データベースを分析プラットフォームに進化
「どのような環境でもビジネスに必要なデータ分析を実現できるのが、『TERADATA Everywhere』だ」とRatzesberger氏は訴求する。
TERADATA Everywhereは、2016年のPARTNERSで発表された同社のコンセプトである。オンプレミスかパブリッククラウドを問わず、マルチクラウド上でデータウェアハウス(DWH)専用データベース(DB)「Teradata Database」のすべての機能が利用できるというものだ。
Ratzesberger氏はTERADATA Everywhereを実現する要素として、「Analyze Anything(あらゆる分析に対応)」「Deploy Anywhere(柔軟な展開)」「Buy Any Way (広範な購入モデル)」「Move Anytime(さまざまな環境への拡張性)」の4つを挙げる。
TERADATA Everywhereを具現化する4つの要素
中でも今回の“目玉”として発表されたのが「Analyze Anything」を具現化する「Teradata Analytics Platform」だ。Teradata Databaseと分析プラットフォームの「Teradata Aster」を統合し、Spark、TensorFlow、Gluon、Theanoといった深層学習エンジンを包含する。Ratzesberger氏は「データベースを分析プラットフォームに進化させるものだ」と説明する。
Analytics Platformの概念図
Analytics Platformは、Jupyter、RStudio、KNIME、SAS、Dataikuといったさまざまな分析ツールのほかにPythonやR、SAS、SQLなどの異なるプログラミング言語を単一のワークフローで分析できる。
具体的には帰属分析、パス解析、時系列による分析、統計、テキスト分析、機械学習のアルゴリズムなどだ。データと分析ツールをパイプライン化することで、複数のエンジンにデータを格納する必要がなくなる。データアナリストは、分析のトライ&エラーを迅速に繰り返すことで、ビジネスに必要な洞察と知見を得て、新たな施策を講じることができるという。