シスコシステムズ、デルとEMCジャパン(Dell EMC)、SAPジャパンが中堅中小企業向け事業に注力する姿勢を強く打ち出している。その背景には市場の変化があるようだ。
シスコとDell EMCが先週開いた会見で「注力」を強調
シスコジャパンの鈴木みゆき代表執行役員社長
「中堅中小企業向け事業の売り上げが2017年度に前年度比30%以上伸長した。2018年度もこの勢いをさらに加速させていきたい」――。シスコシステムズの鈴木みゆき社長は、同社が10月18日に開いた2018年度の事業戦略説明会でこう語った。同社の会計年度は2017年度が2017年7月まで、2018年度は2017年8月に始まったことから、この時期の会見となった。
成長を牽引しているのは、ネットワーク製品群「Cisco Start」やクラウド管理型無線LANソリューション「Cisco Meraki」など、同社が中堅中小企業向け市場に打ち出した商品だ。鈴木氏は2018年度もこれらの商品を軸に同市場での事業をさらに加速させるべく、全国地域の営業体制を強化したとしている。この会見の内容は関連記事をご覧いただきたい。
また、Dell EMCが10月20日に中堅企業向けIT支援ソリューションを発表した。この会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、同社は今年4月に「ITコンシェルジュ」の増員、5月にバックアップソリューション、6月にクラウドサービスの展開、そして今回と、このところ中堅企業向け事業に注力する姿勢を強く打ち出している。
こうした動きで同社がキーワードに挙げているのが「ひとり情シス」だ。今回の会見で説明に立ったデルの清水博 執行役員 広域営業統括本部長はDell EMCの調査として、「中堅企業の27%が、ひとり情シスというのが現状。3年後にはこれが36%まで拡大する可能性がある」と語った。この背景には、IT人材不足とともに、複数の情報システム担当を配置する余裕がないこともありそうだ。