狙いはデジタルトランスフォーメーション
ただ、浅野氏の説明を聞いていて気になったのは、OSSから見たときのAzureの競争力がどうなのかだ。Azureと同じパブリッククラウドの基盤サービスとしては、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud Platform(GCP)が競合相手となるが、OSSの活用ではAzureよりAWSやGCPの方が先行してきたという印象が強い。そのあたりの認識はどうなのか。会見の質疑応答で浅野氏に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「OSSから見たクラウド基盤サービスのシェアなどは分からないが、それぞれのOSSの利用状況でいうと、例えばAWSは全体の70%程度がLinuxベースではないかと推察される。ただ、重要なポイントは大半のOSSユーザーがオンプレミスからクラウドへとこれから移行していく状況にあるということだ。とりわけ、クラウド上でOSSを活用してデジタルトランスフォーメーションに取り組む動きはこれからが本番。マイクロソフトはこの動きをキャッチアップしていきたい」
その際のAzureのアドバンテージはどこにあるのか。浅野氏は「人工知能(AI)を活用した分析力や、PaaSの中でマイクロソフトの技術と連携を図ることができるなどの柔軟性にある」と答えた。
浅野氏が言うように、クラウド上でOSSを活用してデジタルトランスフォーメーションに取り組む動きがこれから本番を迎えるという認識は間違っていないだろう。とはいえ、この巨大な潜在市場は当然ながらAWSやGCPも狙っており、Azureとともに“三つ巴の戦い”がこれから一段と激しく繰り広げられることになりそうだ。