HCIだけでなく巨大なサーバ市場もターゲットに
では、Nutanixが今回、国内でEnterprise Cloud OS単体のソフトウェアライセンス販売を開始した狙いはどこにあるのか。町田氏は、まず「大規模システムの構築を柔軟なライセンス価格で実現できるようになるとともに、Enterprise Cloud OSをベースとするホスティングサービスやコンサンプションサービスの展開など、パートナー各社のさまざまなサービスモデルへの対応が可能になる」ことを挙げた。
さらに、町田氏が狙いとして挙げたのが、新しい市場の獲得である。同氏によると、HCIは成長分野ではあるものの、2016年の国内市場の規模はハードウェアとソフトウェアを合わせて78億円と、サーバ市場全体の1〜2%にしか過ぎない。そこで目を付けたのが巨大なサーバ市場への進出だ。とりわけ、年間出荷台数でおよそ50万台のうち6割の30万台を占める1-2ソケットのラックサーバに対して、Enterprise Cloud OSは最適な基盤ソフトウェアになり得るというのが、同氏の目論見だ。
ただ、Enterprise Cloud OSにとって最大の強敵と目されるのが、Microsoftの「Azure Stack」である。Azure StackはパブリッククラウドサービスであるMicrosoft Azureの機能をユーザーがオンプレミスで利用できるようにしたハイブリッドクラウド対応の基盤ソフトウェアである。
果たして、Enterprise Cloud OSはAzure Stackよりユーザーに選んでもらえるのか。そのポイントはどこか。会見の質疑応答で聞いてみたところ、町田氏は次のように答えた。
「最大の違いはマルチクラウド対応。Enterprise Cloud OSはAWSやGCP、そしてAzureにも対応している。クラウド利用がベンダーロックインではさまざまな選択肢に限界が出てくる。Enterprise Cloud OSこそがクラウド時代の真のオープンプラットフォームであることを訴求していきたい」
Microsoftとの戦いに挑むことを鮮明に打ち出したNutanixは、果たしてさらなる成長を遂げることができるか。注目しておきたい。