システムインテグレーター(SIer)の代表格であるNTTデータの次期社長に就任する本間洋(ほんま・よう)副社長の決意とSIビジネスに対する考え方に迫ってみたい。
ITサービスベンダーの「世界トップ5」入りへ
NTTデータが先ごろ、社長交代を発表し、本間氏が6月19日開催予定の定時株主総会と取締役会を経て次期社長に就任することになった。本間氏の経歴や岩本敏男社長とともに行った発表会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは本間氏の決意とSIビジネスに対する考え方に注目し、筆者なりに考察したい。
社長交代会見に臨むNTTデータの岩本敏男社長(左)と次期社長に就任予定の本間洋副社長
まず、決意について。本間氏は会見で、今後の経営のかじ取りについて、次のように語った。
「当社では3つのステージからなるグローバルビジョンを策定し推進しているが、いよいよこれから2025年に向けた第3ステージに挑むことになる。これまで決めてきたことの軸がぶれないようにする一方、私なりの新しい視点や考え方を付加させながら、ビジョン達成の道筋を明確にして実行していきたい。これが私の最大の使命だと肝に銘じている」
同氏が言うグローバルビジョンにおける3つのステージとは、まず第1ステージが海外売上高比率30%を目指した「グローバルカバレッジの拡大」、第2ステージが売上高2兆円超と海外売上高比率50%を目指した「グローバルブランドの確立」で、ここまでは現時点でほぼ達成と言えるところまできた。
では、第3ステージとはどのような内容か。目指すは「Trusted Global Innovator」で、信頼されるブランドの浸透を図るとともに、世界3大地域でほぼ均等な事業ポートフォリオを形作っていきたい考えだ。その上で、ITサービスベンダーとして「世界トップ5」入りを狙う。
図1に示したのが、その具体的な取り組みである。「Status」「Scope」「Strength(強み)」といった3つのキーワードを挙げ、Statusは世界トップ5に入って認知度を一層高めること、Scopeは世界3大地域でほぼ均等な事業ポートフォリオを形作っていくことだという。
図1:グローバルビジョンの第3ステージの内容(出典:NTTデータの資料)
そしてStrengthについては、顧客との深い理解による信頼関係を構築する「Long-Term Relationship」、ビジネス革新を顧客とともに実現する「Applied Innovation」、生産技術革新の追求やNTTグループのR&Dを活用した「R&D Excellence」といった3つを挙げた。
改めて、このグローバルビジョンにおける第3ステージを達成することが、本間氏の使命であり、決意である。