三井住友銀行が語る「勘定系クラウドの実現は“遠い未来”」

三井住友銀行の高橋健二 システム統括部 部長
図1の中でも注目されるのがSMBCグループである。今回の会見にゲストとして登壇した三井住友銀行の高橋健二 システム統括部 部長は、クラウド化への取り組みについて、新たなシステム構築の基盤として、2016年よりパブリッククラウドを採用したと説明。コミュニケーション基盤としてMicrosoft Office 365、ワークプレイス基盤としてMicrosoft Azureを採用したのをはじめ、現在では図3のように5つの分野でクラウドを利用しているという。
こうした国内のメガバンクのクラウド採用をめぐる発端の動きや、従来の銀行システムの仕組みについては、2017年1月26日掲載の本コラム「パブリッククラウドは銀行システムに広がるか」で解説しているので参照いただきたい。

図3:SMBCグループのクラウドへの取り組み
2017年1月といえば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が「クラウドファースト」を打ち出し、勘定系システムの移行も視野に入れてAWSのサービスを採用すると宣言。これが金融機関のクラウド化を促進するきっかけになったとも言われている。だが、国内のメガバンクがパブリッククラウドを採用したのは、三井住友銀行が最初だったようだ。
そこで、今回の会見の質疑応答で同行の高橋氏に、勘定系システムのクラウド化についてどう考えているか、聞いてみた。すると同氏は、「勘定系システムはメインフレームを中核に長年作り上げてきたものなので、そう簡単にクラウドへ移行することはできない。移行するとしても遠い未来で、5年後のような近い未来の話ではないと考えている」と答えた。果たして、遠い未来とはいつのことか……。
先ほど紹介した2017年1月26日掲載の本コラムでは、最後にこう書いた。「キーワードは“移行”ではなく“刷新”ではないか。なぜ、刷新か。それは今後、経済社会における銀行の役割や業務内容が変化する可能性があるからだ。それに伴ってシステムのあり方も変わる。この話はそうした大きな視点で捉えなければいけないだろう」―― この見方を今回も改めて筆者のメッセージとしたい。