データ駆動型の企業が優れた業績を達成することは調査結果によっても示されている。では、そのような企業になるにはどうすればよいのだろうか?
データ駆動型ビジネス--アナリティクスの活用による業務上の問題解決と機会の創造
データの利用によるビジネスの活性化という話になった場合、GoogleやFacebookといった企業がまず思い浮かぶ。これら企業のプラクティスについては、プライバシーや所有権、ガバナンスといった観点からのさまざまな議論も可能だが、両社が技術的なアプローチとともに文化という観点で新たな世界を切り開いたという点に疑いの余地はない。
Facebookの運用における技術的な素地と、データ駆動型の文化を築くうえで貢献した人々は、これらの組み合わせをDataOpsと呼んでいる。彼らが2007年にその取り組みを開始した際のビッグデータは、現在のそれとは異質なものだった。ビッグデータをビッグデータたらしめる4つのV、すなわちVolume(容量)とVariety(多様性)、Velocity(速度)、Veracity(真正性)はすべて今よりも低いレベルのものだった。
しかし、それよりも重要なのはおそらく、企業の意思決定を推進していくうえでビッグデータを活用するという前例があまりなかったという点にある。また、データをすべて保存することの有効性もまだ疑問視されていた。今日では、データの価値は立証されているという感覚が大勢を占めており、疑問の焦点はそうした価値を手に入れる方法に移っている。

データ駆動型の企業は、そうでない企業に比べると財務的に優れた業績を達成している。
提供:Economist
データ駆動型意思決定の先駆者の1人であるO'ReillyのPaco Nathan氏は以下のように述べている。
意志決定者は判断を下すことに慣れている。最高経営責任者(CEO)であれば、直感的に統計を理解している。それが彼らの日々の仕事であるためだ。彼らはその背後に潜んでいる数学的知識を持っていないかもしれないが、エビデンスを収集し、それに基づく反復作業を実施し、意思決定の基盤にしていくという考え方は、経営者の本能となっている。
データへのアクセスを合理化するために必要となる作業を用意すれば、ものごとは回り始める。業務を変革するアイデアは、ヒントになりそうなところだけでなく、そうでないところからも出現する。Facebookのあるインターンが、ユーザーらの互いにやり取りする方法をマッピング、分析した結果、世界的なキャンペーンにつながり、製品機能の充実と成長がもたらされたという有名な話もある。しかも感覚的な話や事例だけではない。増えつつある確たるエビデンスによってもシンプルな事実が浮かび上がってくる。その事実とは、データ駆動型企業が優れた業績を達成するというものだ。例としてEconomistが実施した2012年の調査を挙げると、競合他社よりもデータの活用に長けている企業は優れた財務実績を達成しているという。