ほかのさまざまな業界と同じく、不動産業界も、情報が重要な資産の1つであることを急速に学びつつある。設立から36年目の米大手不動産会社Keller Williamsは、蓄積された大量の情報を利用できるだけでなく、大規模な不動産エージェントのネットワークを持っており、エージェントの手を借りてデータを新鮮で有意義なものに保てるというアドバンテージを持っている。
Neil Dholakia氏が2017年に最高製品責任者として同社に加わったとき、同社はすでに事業の改革を熱心に進めようとしていた。
Dholakia氏は米ZDNetの取材に対して、「わが社は、新興不動産サービスのZillowやRedfinに『Netflix』される『Blockbuster』にはなりたくないと考えた」と語った。「この5年、あるいは10年の間に立ち上げられた企業は、どれも皆わが社のことを、古くて保守的な企業だと考えているだろう。彼らはわれわれを、これからNetflixするBlockbusterだと見ているはずだ」(訳注:Blockbusterはかつて米国で隆盛を誇ったビデオレンタルチェーンだったが、新興企業であるNetflixにその座を追い落とされ、倒産に追い込まれた。Dholakia氏は、新興企業が古い大企業を追い落とすことを表す動詞として「Netflix」という言葉を使い、追い落とされる側の企業を「Blockbuster」という言葉で表現した)
創業者であるGary Keller氏は、同社を世界最大の不動産フランチャイズ企業から、不動産技術企業へと変貌させたいと考えた。Dholakia氏によれば、その目標は「自社をNetflixする」ことだった。
Dholakia氏は米ZDNetの取材に対して、業界で確固たる地位を占める大企業であるKeller Williamsが持つ競争上の優位を生かすための製品戦略について詳しく語った。同社は、不動産エージェントや家を購入する顧客向けに、人工知能(AI)を利用した相互に連携する多彩なアプリケーションを開発している。
以下は同氏へのインタビューをまとめたものだ。
事業規模をAIに生かす
Dholakia氏によれば、Keller Williamsはひとつのプラットフォームを構築しており、蓄積された35年分の情報と、世界中の18万もの同社のエージェントが生み出し続けている新しいデータをこのプラットフォームに乗せようとしている。