カーボンニュートラル(脱炭素)

地球を犠牲にしてはいけない--データセンターから考える温暖化対策 - (page 2)

Sumir Bhatia (Lenovo)

2020-02-19 07:00

 データセンター向け水冷技術のイノベーションの進化に伴い、油や加工水、特殊な純水などの代替的な冷却技術やその他の独自の技術を、CPUやメモリーといった高消費電力のコンポーネントに直接連結し、人間工学的な冷却を実現することも可能です。

 このプロセスでは、これまでの水冷システムで必要だったチラーが不要なだけでなく、演算能力も犠牲になりません。上記以外にも、環境に優しい水冷設計の要素として、過剰な熱を中心のコンポーネントから逃がすための冷却時の水流など、設計の最適化が考えられます。

 再生可能エネルギーの利用以外にも、リサイクル材料の採用など、未来志向の設計や冷却を自動化し、本当に必要な場合のみ有効化する人工知能(AI)ソフトウェアの使用によって、二酸化炭素排出量を削減することが可能です。

 こうした設計は、より効果的なデータ保存とコスト削減の手法を取り入れる形で、二酸化炭素排出量ゼロの目標に寄与し、企業は自社の専門分野の独自戦略の開発に専念できます。これが好循環となり、データセンターに対する依存度の上昇トレンドは実際のところ、再生可能エネルギーを基礎とする経済に向けた取り組みを加速させる原動力となると言えるでしょう。

サブスクリプション経済への参加

 最近、数多くの業界の経営手法に革命を起こした、新しいビジネスモデルに「サブスクリプション経済」があります。このモデルの考え方は本質的に環境に優しいもので、フル活用することは考えにくいサービスや製品を「購入」するのではなく、企業はプロバイダーから必要なリソースだけを借りて、使用分に応じて支払います。

 データセンター向けのハードウェアベンダーも、計算の方法は違えども使用量に基づくサブスクリプションモデルを提案しています。これにより、企業はデータセンターのサーバーやソフトウェアスタックをレンタルできます。そして、ワークロードの実行時のみに、その容量に対して支払いを行います。容量はビジネスニーズに応じ、スケールアップ/ダウンが可能です。

 デジタルトランスフォーメーションの俊敏性が求められる中、企業に必要なデータセンターインフラストラクチャーとは、新たなテクノロジーやワークロードを効率的、そしてシームレスに統合可能で、成長の足かせとならず、成長を実現してくれるものです。こうしたモデルと、今日の多くの企業の不定期な、もしくは変動的なニーズから導き出される唯一の結論として、直ちにフル活用されるわけではないハードウェアに対し、企業は事前投資を望んでいないのです。

 使用量に基づくサブスクリプションモデルを採用することで、企業はハードウェアなどのIT資産の資本的な所有権を取得する必要がなくなり、営業費用の一部としての、毎月の使用リソースに対する支払いだけですみます。そして、ビジネスニーズに応じたスケーリングが可能です。このことは、不要なストレージの調達に伴うリソースの負担を軽減するだけでなく、デジタル化のテーマを永続的に考える上でも役立ちます。

 最新のテクノロジーやイノベーションによって、世界の変革が続く中、業界も同様に、顧客がこうした変革のメリットを生かすことのできるサービスに優先順位を設定すべきです。

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