TISインテックグループのTISは「AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立」に参画すると発表した。同研究は、電気通信大学(電通大)が東京都の「大学研究者による事業提案制度」に提案し、採択されたもの。
この研究の中で同社は、IoTデバイスとBAN(Body Area Network)型ウェアラブル機器を活用する新しいネットワーク規格の設計・搭載に加え、センサーの近くに分散配置された計算機で効率的に計算するエッジコンピューティングの実現を目指す。BANとは、人の体の周辺に配置された小型端末で構成される近距離無線ネットワーク。
認知症症状の発症を予測し、発症前に通知してケアをする「東京アプローチ」のイメージ(出典:TISインテックグループ)
認知症患者の介護で大きな問題となるのは、「怒りっぽくなる」「妄想がある」「興奮して、暴言や暴力が見られる」などのBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)であり、これらの症状にどのように対応していくかが、認知症介護の最大の難問だという。
BPSDの発症を事前に予測できれば、周囲の家族や介護者が事前にケアをすることが可能となり、落ち着いて穏やかに接することができると考えられている。認知症患者が示すさまざまな症状の発生メカニズムを人工知能で解析することで、BPSDの発症を予測できるという仮説を基に、今回の研究プロジェクトが立ち上がったという。
電通大を中心とする提案グループは、TISを含む、医療、介護、人工知能、情報システム、ネットワークに強みを持つ大学や企業で構成されている。