Alibaba Cloudはクラウドプロバイダーとして中国市場で極めて大きなシェアを握っており、黒字化も目前となっているが、将来的な成長は人工知能(AI)やアナリティクスのワークロードを中心にしたサービススタックの拡張を主軸に据えたものになるはずだ。
阿里巴巴集団(アリババグループ)が現地時間9月28〜30日に開催した投資家との会合「2020 Investor Day」での要旨は、人々のショッピング行動が変化する中でEコマース大手である同社は業績を伸ばしており、さまざまな角度からコマースに取り組むポートフォリオを擁しているというものだった。同社のAlibaba Cloud部門は、AmazonにとってのAmazon Web Services(AWS)に相当する。
そしてアリババはAWSと同様、Alibaba Cloudを今後の利益を生み出す原動力と見なすようになってきている。アリババの最高財務責任者(CFO)Maggie Wu氏によると、同社のクラウド部門は2021会計年度中に黒字化するという。
OppenheimerのアナリストであるJason Helfstein氏はリサーチノートの中で「同社は、2021会計年度中にクラウド部門の減価償却前利益(EBITDA)が黒字化すると見込んでおり、長期的にはAWSのような収益構造を目指している」と述べるとともに、「さらに、ARPU(1契約あたりの平均売上高)の伸びは顧客数の伸びをはるかに超えており、顧客がスタックを『上』に向かって登りつつあることが示唆されている」と述べている。
アリババの最高経営責任者(CEO)Yong Zhang氏は、Alibaba Cloudが力強い成長の兆しを見せていると述べている。同社のクラウド部門は、業界や新たなワークロードに狙いを定めた戦略的計画によって60%という勢いで成長している。Alibaba Cloudは300万を超える有料顧客を抱えており、アリババの総売上高の8%を占め、年間売上高ランレートは70億ドル(約7400億円)に達しようとしている。
Zhang氏は以下のように述べている。
われわれはデータをコマースやビジネスのユースケースに統合することで、クラウドコンピューティングを再定義し、実体経済および各業界に向けた真の価値を生み出そうとしている。われわれのクラウドコンピューティングおよびデータインテリンジェンス事業は既にかなりの規模に達しているが、われわれは依然としてグローバルなクラウド時代に向かう揺籃期に身を置いていると考えている。われわれは、これがあらゆる分野にまたがる業界全体にもたらされる、1つの世代に1度しかやってこないような機会だと確信している。
Alibaba Cloudは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中国国内でのアウトブレイクに伴うリモートワークの増加による恩恵も受けている。同社は、Alibaba Cloudと、クラウド版のオフィスコラボレーションプラットフォーム「DingTalk」をバンドルしている。