これからのキャリアについて考えていること
清水:現在、ひとり情シスとして活躍されている皆さんに、将来のキャリア形成や展望についてお伺いしていきます。
スタック先輩:上司に聞かれるような、返答が難しい質問ですね。まだ具体的ではありませんが、これまでの経験を生かして、将来的にはひとり情シスの方々をサポートできるような仕事をしてみたいという漠然としたイメージを持っています。
情報システムそのものの運用方法は、組み合わせも多岐にわたるので、ソリューションは多種多様で無限です。しかし、ひとり情シスの場合には単純化できるのではないかと考えています。私はもともと常駐派遣だったので、以前までは会社に対する帰属意識も薄かったのです。しかし、次第に会社への愛着が湧くようになりました。自分の夢に向かう前段階として、今の仕事に精を出して意欲的に会社に貢献する姿勢を示せれば、と思っています。
初めて情シス君:私もまだ夢の段階ではありますが、もっと大規模な企業へと活躍の場を広げたいです。仕事で扱う機器やソリューションなどの範囲が多いほど、自分もさらに学びの幅を広げてスキルアップできるのではないかと考えています。
旧情シス係長:私の考えは少し違ったものです。大規模システムからダウンサイジングしていった経験から、ITは規模を縮小させる方が難しいと考えています。また、ユーザー側に寄り添いながら業務改善をするためにITがあると考えています。開発工数を少なくしたり、システムを極力小さくしたりすることで投資コストを最小化し、業務改善をしてシステムを最適化することが理想のひとり情シスだと考えています。今は、その道を突き詰めて目指しています。
スーパー主任:現在、経営層の傍らで仕事をしていく中で、経営のダイナミズムにも初めて触れることができました。また、IT活用で事業を多角化する路線で動いている会社の境遇も重なりITとマネジメントの融合に強い関心があります。ITにも経営にも精通した経営幹部になることを目指しています。プレゼンスキルやコミュニケーション力を向上させるべく、将来はビジネススクールにも通いたいです。

- 清水博(しみず・ひろし)
- ひとり情シス・ワーキンググループ 座長
- 早稲田大学、オクラホマ市大学でMBA(経営学修士)修了。横河ヒューレット・パッカード入社後、日本ヒューレット・パッカードに約20年間在籍し、国内と海外(シンガポール、タイ、フランス)におけるセールス&マーケティング業務に携わり、米ヒューレット・パッカード・アジア太平洋本部のディレクターを歴任、ビジネスPC事業本部長。2015年にデルに入社。上席執行役員。パートナーの立ち上げに関わるマーケティングを手掛けた後、日本法人として全社のマーケティングを統括。中堅企業をターゲットにしたビジネスを倍増させ世界トップの部門となる。アジア太平洋地区管理職でトップ1%のエクセレンスリーダーに選出される。2020年独立。『ひとり情シス』(東洋経済新報社)の著書のほか、ひとり情シス、デジタルトランスフォーメーション関連記事の連載多数。