Andy Jassy氏がAmazonの最高経営責任者(CEO)に昇格することは、長年同社で働いてきた同氏にとって、よい面も悪い面もある。これはJassy氏にとって、クラウド業界で圧倒的な首位に立つAmazon Web Services(AWS)で挙げた成果に対する報酬だ。また各社のアナリストは、新しい地位に就く同氏が、反トラスト法上の多くの問題に直面する企業の顔としての立場に立たなければならなくなるとも指摘する。
12月の「AWS re:Invent」で登壇したAndy Jassy氏
Amazonは、米国時間2月2日に開催した第4四半期業績発表カンファレンスコールで、現CEOのJeff Bezos氏が7月に同社のエグゼクティブチェアマンに就任することを明らかにした。アナリストは、Amazonの全体的な戦略について、引き続きBezos氏が手綱を握り続けるため、Jassy氏のCEO就任後も劇的な変化は起こらないと予想している。
Gartnerの調査担当バイスプレジデント兼ディスティングイッシュドアナリストのEd Anderson氏は、この変化が競合他社にとって何を意味するかは現時点では判断できないと述べている。
「今回のCEO交代後、AWSのCEOに社内の人材が昇進するのか、社外から人材を獲得するのかについては十分な情報がない」と同氏は言う。「こうしたことは、競合他社にとってAWSがどのような存在になるかが決まる上で大きな要因になるだろう」
Forrester Researchのバイスプレジデント兼調査ディレクターGlenn O'Donnell氏は、Jassy氏がこれまでAWSで上げてきた実績は、Amazon全体を率いるだけの経営手腕を備えていることを証明していると語った。
「Jassy氏は優れたビジョンと実行力を備えているが、競争が激しい市場でAmazonが他社に先んじるためには、常にこの2つの資質が必要になる」とO'Donnell氏は述べている。
IDC Retail and Financial InsightsのグループバイスプレジデントであるLeslie Hand氏は、AWSが上げている売上高と利益の面での貢献を考えれば、Bezos氏がAmazonの経営をJassy氏に引き継いだことは不思議ではないと述べている。
「私は同じ理由で、Bezos氏はもはや身を引いて、自分が産み落とした小さなEコマースの企業が、今や売上高1000億ドルを超えるまでに成長したという栄光の余韻に浸ってもよいのだと思っている」と同氏は言う。「小売企業としてのAmazonは単なる小売企業ではない。独自のブランドを持ち、グローバルに事業を展開し、B2B事業も運営し、2020年は成長面からいえば当たり年になった。Bezos氏が現在の栄光に満足しても不思議ではない」