大手システムインテグレーター(SIer)の成長率が、これまでの10%前後から2024年度に3%へ減速しそうだ。2023年度の9社合計の売り上げは前期比17%増、営業利益は同13.1%増だった。
2022年度に引き続き、DXや合併・買収(M&A)などで2桁成長を遂げたが、海外事業の統合で大きく増収となったNTTデータグループを除いた8社になると、合計売り上げは同8%増と巡行速度になる。だが、2024年度の計画は9社合計が3%増、8社合計が5.1%と下がる。一方、9社合計の営業利益率は2023年度の8.9%から2024年度に9.3%と0.4ポイントの改善を計画。売り上げ拡大から収益の重視へシフトする過渡期になるのもかもしれない。各社の2023年度決算説明会からまとめた。
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24年度に成長鈍化するNTTデータグループ、生成AI活用で生産性向上図るNRI
NTTデータグループの2023年度は、売り上げが前期比25.1%増の4兆3673億円、営業利益が同19.5%増の3095億円と大きな成長を遂げた。海外事業を展開するNTT Ltdの連結拡大と為替影響などで、海外売り上げが約41%増の2兆6545億円に伸びたことなどによる。一方、国内売り上げは6.2%増の1兆7570億円になる。
全体の営業利益率は、利益率の低い海外事業の拡大から7.1%と業界平均を下回る。特に売り上げ拡大による人件費や作業委託費など販売管理費が30%超も増加したことなどが響く。2024年度の売り上げは1.4%増と横ばいを予測している。ただし、為替の影響を除くと4%超の増収と算出する。海外事業の収益改善、国内事業のさらなる拡大が課題になる。
野村総合研究所(NRI)も、2024年度の売り上げを前期比5.9%の7800億円と計画している。これまでの伸び率10%前後からすると、成長鈍化の予測といえる。ただし、営業利益は同9.6%増の1320億円と、利益率は0.6ポイント改善の16.9%と高水準を維持する。
同社 社長の柳澤花芽氏は「ソフト開発の生産革新を図る」と、プロジェクトへの生成AI活用を拡大させる方針を明かした。2023年度に手掛けたコーディングやテスト工程における生成AIの適用で、テスト工程で最大85%、プログラム生成で最大40%の生産性向上を確認したという。
2024年度にこうした生産革新とAI関連サービスの開発、先進技術調査に約100億円を投資するとともに、要件定義からリリースまでの工程に生成AIを効果的に活用できるよう組み替えもするという。2023年度に減収減益だった海外事業の構造改革などが課題になる。