--オラクルは、Oracle Databaseを使うのであればBEA WebLogicを使うのではなく、Oracle Application Serverを使う方がより効果的だと言っていますが。
確かに、BEA WebLogicとOracle Databaseは最も利用されている組み合わせなので、オラクルの言い分も分からないではありません。しかし賢明なユーザーは、何を選ぶべきかをよく理解していますので、われわれとしてはあまり心配はしていません。
--日本では2006年はいよいよSOA実装の年と言われていますが、米国での状況を聞かせてください。
新しいテクノロジーへの投資が1999年ごろから2001年ごろにかけて行われてきました。この投資はシンプルなものを目指していたはずなのに、結果はより複雑性を増してしまいました。そこでこの4〜5年は、複雑化したシステム環境を、いかにシンプルにするかという努力が行われています。
今後は、古いシステムを有効に活用しながら、新しいシステムを実現していかなければならならず、そのためには新しいアーキテクチャが不可欠だということに顧客は気づきはじめたのです。この新しいアーキテクチャがSOAであり、顧客はSOAを活用して新しいアプリケーションを構築しようとしている段階です。
--BEA AquaLogicを活用した効果的な事例があれば聞かせてください。
いくつかあります。たとえば、大手テレコム企業であるVerizon Communicationsは、BEA AquaLogicファミリー製品を使用してマルチメディアポータルを構築しています。これは家庭向けにさまざまなマルチメディアサービスを提供するためのポータルです。
われわれの顧客は、SOAに対して既存システムの有効活用と複雑性の解消を期待しています。複雑になったシステムをシンプルにすることで、製品やサービスを市場に投入するまでの期間を短縮することが狙いです。
これによりシステムのメンテナンス作業を低減させ、ビジネスの生産性を向上し、コストを大幅に削減することが可能になります。ただしSOAで期待されている目的は、75%程度が複雑性の解消であり、残りの20%程度がコスト削減だと思います。
--顧客の要求を支援していくために、2006年にBEAはどのような戦略を展開していくのでしょう。
数四半期前に、業界別のソリューションをまとめてプリパッケージ製品として提供していくという戦略を発表しています。ここでは製品だけでなく、プロフェッショナルサービスもあわせて提供していく計画です。これにより、ソリューションの導入から運用管理までを支援します。
日本市場においても、日本の顧客のニーズを理解している人員を採用し、プロフェッショナルサービスを組み込んだソリューションをすでに展開しています。
--“Think Liquid.”というメッセージは、SOAの本質を非常によくあらわしていると思います。
2004年にBEA AquaLogicを発表した当時、BEAという会社は何を目指して、どこに向かっている会社か将来が見えない、ビジョンがないという批判の声もありました。そこで“Think Liquid.”というブランド戦略を実施したのですが、われわれの伝えたいメッセージが良く伝わったのではないかと思います。
このブランド戦略は、顧客はもちろん、BEAの社員も評価してくれています。このような効果的なブランド戦略は、みんなの考え方を統一し、ビジョンに基づいて一致団結した戦略を展開できる原動力になるのです。ただし、(キャンペーンのための)お金もかかりますが……(笑)。
--日本市場に対する期待を聞かせてください。
日本市場において、われわれは長い歴史を持っています。その中では、経済的な浮き沈みも経験しましたが、幸いなことにあまり影響されることなく着実に成長してきたと思います。
現在では、経済も回復傾向にあり、顧客からはコアテクノロジーへの投資の必要性を感じているということも耳にしています。今後、IT投資を行っていく場合、SOAへの投資は不可欠であり、SOAをビジネスとするBEAにとっては、そこに必ず大きな市場があると思っています。
また、日本市場でビジネスを成長させるためには、パートナー企業の協力は不可欠ですから、パートナー企業に対して正しいテクノロジーを提供することを継続していきたいと思っています。