サイボウズは2007年8月で創業10周年を迎えた。その10年で東証1部企業にまで駆け上がったが、同社の代表取締役社長、青野慶久氏はまだまだやるべき課題は多いという。今、その思いの多くをMIJSの活動にゆだねようとしているように見える。
とにかく海外をやる
創業10周年を迎えたサイボウズは、これを機に「2大ブランド化とリレーションマーケティングを展開」とする新たな事業戦略を発表。サイボウズが手掛ける多くの製品を中小企業向けの「かんたんシリーズ」と中堅・大企業向けの「ガルーンシリーズ」のカテゴリーに分け、簡素化した。
同時に、サイボウズ250万のカスタマーベースに対しリレーションマーケティングを強化する。いずれも同社のビジョン「情報サービスの大衆化」を実践する戦略だ。
10年で東証1部に上り詰めた企業だが、青野氏は道はそれほど平坦ではなかったという。
「最初は“お手軽簡単グループウェア”ということで受けたのですが、一度挫折し減収減益になったこともあります。その後、パートナー企業と共同で新しい商品を開発したり、保守/サポート体制を整備したりして事業を再構築し、なんとかやってきたのが実状です」
それが今回の新事業戦略に結びつくわけだが、ここで謳っている「2大ブランド化とリレーションマーケティング」を踏まえ、青野氏は「今、一番強みのある私たちのグループウェアを世界に出す」と宣言した。
「10年後には海外の売り上げが相当占めていると考えています。とにかく海外をやるという決意です。いいもの作って売るということで、どちらかというとものづくり視点でやっていきたいと考えています」
その布石なのか。同社は2007年6月、上海にサイボウズ上海を作った。中国に進出している日系企業を対象にグループウェアのASPサービスを始めている。これを足がかりにして、その後現地企業へというストーリーを考えている。
しかし、この海外進出でもかつて挫折があった。「2001年にアメリカに子会社を作り、現地企業に売ると頑張ったのですが、残念ながら黒字化できず撤退した経験があります。そこで、身の程を知るというか、できることからやり直そうと思っているのです」と青野氏は述懐する。
いわば再チャレンジの海外進出だが、ここでもMIJSに期待しているようだ。MIJSはオーバーシーズオペレーション部会で海外展開を図っているが、それに対し「海外進出に当たってはいかに支援サービスを行えるかがポイントになると思っています。MIJSという枠組みでまとめてサービス拠点を作ってもらうなど、MIJSには期待しています」と青野氏は言う。
サービスで外国製ソフトに勝つ
サイボウズ10年の歴史の中でも、これまであまりこのようなコンソーシアムに参加したことがなかった。
「今回、話を聞いたときも、実際何が始まるのか正直分かりませんでした。しかし、MIJSには日本の有数のアプリケーション会社が社長自ら出てきています。それを見て、本気で何かをやりたいということが伝わってきて、私たちも参加することにしました」
その裏には、「自分の身の回りで使っているソフトはほとんど外国製というところが、単純にくやしい」という率直な気持ちがある。