腕時計、バッグ、財布などの製品を90カ国の小売業者を経由して販売している世界的なファッションブランドであるFossilの現地法人Fossil Australiaでは、納期短縮の必要性から大がかりな営業チームのモバイル機器導入プロジェクトを推進した。
サプライチェーンがMyerやDavid Jonesのような大手小売業者から地方の家族経営の小売店にまでおよぶFossilにとって、顧客と常に連絡を保つことはかねてからの至上命題になっていた。
小売業者からの注文は2006年だけでも5万件以上あり、急速に成長しているにもかかわらず、Fossilは従来の手入力のプロセスがビジネスの足を引っ張っていることをすぐに認識した。店頭営業担当者は在庫品に対する注文を現場で受け付けるのだが、それらの注文を会社の「Microsoft Dynamics NAV ERP」システムに入力するまで3〜5日かかることもあった。
さらに問題なのが、しばしば現地の倉庫に存在しない在庫品やすでに大手の小売業者への大口出荷に割り当てられている在庫品に対する注文を受けてしまうことだった。Fossilではすべての在庫品が海外から輸送されるため、新しい注文品に対するリードタイムは月単位だった。これは特に現在のクリスマス前のような高需要期には問題だった。
「電話、書類、ファクス機を使った非常に古いシステムだった」とNAVISION Competence Centreのアジア大洋州マネージャー、Markus Stanger氏は述べる。「バックログがあると注文を入力するのに多大な時間がかかることがあり、またオーストラリアが広大であることからかなりのリードタイムが必要だった。そして大きな問題は、それらの注文品を実際に納品できるのかどうか全くわからないことだった」
Fossilが注文品管理プロセスの優秀なソリューションを探し始めるようになるまでに、未処理受注残高は50万豪ドルに達し、多くの顧客はどの製品がサプライチェーンを通じて納品されるかの知ることができずにいら立っていた。
現場の注文処理
Navisionのいくつかのパートナーと協議した後で、Fossilは営業チームに自律的な権限を与える最善の方法はモバイル注文入力アプリケーション(モバイルネットワークのGPRS経由でバックエンドERPシステムに接続)を(10人以上いる)現場営業スタッフに配布することだと気づいた。