「Notes/Dominoを使い続ける」という選択肢--企業のコラボレーション基盤を考える(2) - (page 3)

梅田正隆(ロビンソン)

2008-08-08 19:39

では、Notes/Dominoを止めれば幸せになれるのか?

 古くからNotes/Dominoに深く関わってきたパートナーの1社に大塚商会がある。同社マーケティング本部の丸山義夫氏は、LotusDay 2008において「幸せでしたか? ノーツを止めて!」と題するセッションを担当。パートナーの立場だからこそ言える、いくつかの移行事例を紹介した。

丸山義夫氏 大塚商会、マーケティング本部の丸山義夫氏。丸山氏は「ノーツコンソーシアム」によるパネルディスカッションでもモデレーターを務めた。

 丸山氏はセッションの冒頭に、Lotus Notes/Dominoユーザーを対象としたアンケート調査の結果を披露。その中で、現状のユーザーがLotus Notes/Dominoに対して持っているネガティブな意見の中に、「機能に関する不満」がほとんど含まれていないことに注目する。そうしたユーザーがNotes/Dominoを止め、別の製品に乗り換えて失敗した例をいくつか披露した。

 他社製品への乗り換え理由の中で最も多いのが、「Notesが分かる人がいない」という理由だという。長らくNotesにかかわってきた技術者やシステム管理者が上級職になり、扱える人間が現場にいなくなったため、他社の製品に乗り換えるといったケースだ。

 あるユーザーは、そうした経緯で、ある有名な国産ウェブグループウェアへ乗り換えた。「メールとスケジュールが使えればいい」との考えだったが、困ったことが起きた。このユーザーはLotus Notesで日報や見積りなどの営業支援データベースを利用してきたが、同じことをその製品でやろうとすると、データベースで細かいアクセスコントロールができないことが判明。権限のない人に見せたくないデータを隠すことができなくなってしまったという。結局、営業支援データベースだけはNotesクライアントで続けることにした。「Lotus Notesではアクセスコントロールを簡単に設定できるため、別の製品でも全く同じことができると思ってしまいがち」と丸山氏は説明する。

 次は、Notesマイグレーションの急先鋒(せんぽう)として、激しい攻勢をかける超有名外資系ベンダーのウェブベースのコラボレーション基盤に移行する例。このベンダーは、自社サイトで「Notesアプリケーションの移行ツール」を無償で提供している。たしかに、実際に利用してみると、ウィザードベースの簡単な操作で、Notes文書が簡単に移行できるように感じられる。

 ところが、実際にアプリケーションを移行してみると、その違いにすぐに気づく。例えば、部署のデータベースで「すべての部署」を開くと、部署がすべて表示されるが、Lotus Notesにおいては「すべての部署」は上位階層が表示され、中身は畳まれていたからだ。さらに「カテゴリー」についても都合が悪いことが起こる。カテゴリーが減っているのだ。移行先の製品では、同一カテゴリーを複数持つことができず、階層も2階層までに制限されてしまう。丸山氏は「Lotus Notesでは、簡単にやれたことを、他社製品ではやれない。結局、ユーザーは移行した後で、慌ててSI業者にコーディングを依頼することになる」と話す。「簡単に移行できそう」と「実際に移行できる」は、まったく別の問題であることを、他社製品を検討するユーザーは肝に銘じておく必要があるというわけだ。

 「(他社製品への移行を検討する前に)何がユーザーにとって便利なのかを考えること。いま移行することがユーザーにとって本当に正しい選択かどうか。何の目的で移行するのかを明確にしないと失敗する。乗り換えるのであれば、Notesで当たり前のことができないこともある、ということも認識しておいてほしい」(丸山氏)

 次回からは、ユーザーが「Notes/Dominoを止める決断」をするにあたり、他のベンダーやSI業者がどのような提案やサポートを行おうとしているのか。その場合、「Notes/Domino以降のコラボレーション基盤」に対して、どのようなビジョンを持つべきかについて見ていきたい。

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