降りかかるさまざまな難題
だが、2012年度上期(2011年4〜9月)までは厳しい状況が続くとの見方が支配的だ。
ソニーを除く7社が上期の業績見通しを発表しているが、7社合計の上期業績見通しは前年同期比2.4%減の17兆6500億円とマイナス成長を予測。営業利益についても、19.2%減の3710億円と前年実績を下回る見通しである。
そして最終利益についても、2011年度上期のマイナス381億円の赤字から60億円の黒字転換を見込むが改善幅は限定的だ。
上期見通しを発表していないソニーでも、「2012年度上期は先進国市場が引き続き厳しい状況であると想定しており、損益的には厳しい状況にある」とコメントする。
各社に共通した見方は、下期からの回復である。
ソニーでは、「2011年度下期は、タイ洪水被害の影響により赤字を計上したが、これに対して大幅な改善となり、利益を確保できる見通し」と予測。通期最終損益で唯一赤字見通しとなっているシャープも、「上期は700億円の赤字を想定しているが、下期は400億円の黒字へと転換できる」とする。
市況の回復、事業構造改革の成果などが下期の回復につながるというわけだ。
しかし、依然として為替の影響懸念や世界情勢の変化なども見逃せない。
パナソニック社長の大坪文雄氏は、「リーマンショック以降、我々の身に起こっていることは、グローバル競争をしている企業においては起こりうることばかりである」とし、それに向けた体質づくりが急務であることを示す。2011年度まではそれに向けた構造改革の時期であったといえよう。
金融危機、需要低迷、成長する新市場への対応、そして災害時における対応や為替への対応などといった課題に対して、これまでの体質改善によって、日本の電機大手がどう対応できるのか。それを推し量る2012年度ということになりそうだ。
次回から大手電機各社の業績を追ってみる。
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