ITへのアプローチでは「内製」だったオバマ大統領、「外注(アウトソーシング)」のロムニー候補を打ち破った
今年の米大統領選挙でバラク・オバマ大統領の再選に大いに貢献したのは、オバマ陣営のIT部門だった。この「オバマのギークチーム」をめぐる話題は、なかでもビッグデータ活用について大きな反響があったようだ。
12月に入ってからも、TIMEやMIT Technology Reviewなどが、この話題に焦点をあてた記事を掲載している。とくにMIT Technology Reviewは、オバマ側だけでなくロムニー陣営の取り組みも取材。雑誌(のウェブ版)としては破格のボリュームで、両者のアプローチの違いなども描いた。
この記事をどこまで簡潔に紹介できるか少し心許ないが、興味深かった点などを可能な限り書きだしてみたい。
選挙資金集めも「クラウドソーシング」で
オバマ大統領を今年の「The Person of The Year」に選んだTIMEでは、その話に当て込んだかたちで、同陣営のギーク・チームについての記事をふたたび掲載した。
以前書いたとおり、TIMEはこの話題を11月には他メディアに先駈けて伝えていた。
今回の記事で特に目新しいのは、オバマ陣営がオンライン経由で集めた具体的な金額が出ている点で、総額約10億ドルに上った献金のうち、約6億9000万ドルがオンライン経由だったという。2008年の選挙戦ではネット経由が5億ドルだったから、大幅に増加したことになる。しかも、一口200ドル以下の小口献金が2億ドルを上回り、前回より10%も増えたなどとある。
この「選挙資金集めのクラウドソーシング」で大活躍したのが、前にもふれた携帯電話のショートメッセージ(SMS)をつかった仕組み。「スーパーパック」と呼ばれる一部の大金持ちの提供する資金が選挙戦の行方を大きく左右するとみられていた今回の選挙で、こうした小さなお金の集合がこれほど大きなものになるとは……といった指摘もみられる。
「マイクロターゲティング」と「データの軍拡競争」
一方、今回の選挙で改めて登場頻度があがった感のある「マイクロターゲティング」について、Bloomberg Businessweekが約一年前に採り上げていた記事もみつかった。「ギークが秘密兵器」という見出しの記事である。