SAS Institute Japanはアナリティクス基盤の新版となる「SAS 9.4」を発表した。8月1日から国内市場向けに提供を開始した。同基盤に対応した第1弾製品として可視化ツールの新版「SAS Visual Analytics 6.2」も提供が始まった。
SAS 9.4は、全世界6万5000サイトで採用されているSASソフトウェアの基盤の最新版で、従来のオンプレミス型、ホスティング型に加えて、クラウドにも対応した。パブリッククラウドとプライベートクラウドなどでの導入も選択できるようになったという。
インメモリでアナリティクスを身近に
新版ではアーキテクチャを大幅に見直して、「vApp」という新たな形態での提供を開始した。これまでのようなSASのインストール、設定作業を不要にし、クラウド環境での利用が可能になる。
SAS Institute Japan マーケティング&ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏
SAS Institute Japan ソリューションコンサルティング第一本部 Information Management & Analyticsグループ マネージャー 小林泉氏
SAS Institute Japan マーケティング&ビジネス推進本部 本部長 北川裕康氏は「CIO(最高情報責任者)を対象にした調査では、アナリティクスとビジネスインテリジェンス(BI)が優先するテクノロジの第1位になっている。だが、アナリティスクができる人材が不足しているのが最大の課題となっている。そうした中で求められているのが“イージーアナリティクス”。SAS 9.4は、初めてアナリティクスに取り組む企業でも使いやすくすることで、人材不足という課題解決を実現することになる」と新版の意義を説明した。
「SAS 9.4は、ビッグデータアナリティクスとクラウドにネイティブに対応し、革新的なデータビジュアライゼーションで使いやすいアナリティクスから高度なアナリティクスまでの幅広い分析要求に応えることができる」(北川氏)
SAS 9.4の進化の特徴は「すべてのユーザーにインメモリアナリティクスを提供するとともに、アナリティクスをさらに身近にすること、IT部門の戦略により柔軟に対応できること」(SAS Institute Japan ソリューションコンサルティング第一本部Information Management & Analyticsグループマネージャー小林泉氏)だと説明する。
短時間でのビッグデータ処理と分析が可能になるというHigh-Performance Analyticsの機能をインメモリアナリティクス技術に対応することでシングルサーバ環境でも活用できるようにしたのが特徴と説明。すでに単一のサーバ上でSASのアナリティクス製品を導入しているユーザーは追加費用なしで利用できる。
「より多くのユーザーに、最新のアナリティクス機能を活用してもらうためにシングルサーバ対応とした。SASにとっても、いかに多くのユーザーにSAS 9.4を活用してもらうかが今年度の重要にテーマになる」(小林氏)
新版では、セキュリティ機能を強化するとともに、複数のSAS環境を単一画面で監視、管理できるようにするなど、管理者向け機能を強化した。加えて、単一障害点を排除するために、クラスタリング構成が標準でサポートされた。導入時にはウィザードベースの設定で、可用性と負荷分散を考慮したクラスタリング構成を構築できる。
High-Performance Analyticsの製品群の強化として、データマイニングの「SAS High-Performance Data Mining」、テキストマイニングの「SAS High-Performance Text Mining」、最適化を行う「SAS High-Performance Optimization」、統計解析の「SAS High-Performance Statistics」、時系列予測の「SAS High-Performance Forcasting」、計量経済分析の「SAS High-Performance Econometrics」の6種類のパッケージを提供。あらゆる業種への対応と洞察の獲得に不可欠な機能を提供するという。
これらの製品は、シングルサーバ環境からスタートでき、データの増大やビジネススピードの要件に応じて、超並列処理(MPP)型へとスケールアウトできるとした。