KDDIは10月17日、法人向けクラウドサービス戦略を説明した。「Microsoft Office 365」と「Google Apps for Business」をクラウドサービスとして提供する。
「これをスタートポイントとしてクラウドサービスのラインアップの拡充に取り組む。顧客が選択可能な状況を作るのが、KDDIのビジョンであり、使命である」(KDDI クラウドサービス企画開発部 部長 藤井彰人氏)とし、「KDDIでは、IaaS/PaaS/SaaSのすべてをクラウドサービスととらえており、今後、それに向けたラインアップ拡充に取り組む。早い時期に展開していきたい」と急速な勢いでサービスメニューを拡充する姿勢をみせた。
KDDIが持つネットワークを活用し、顧客が持つイントラシステムと日本マイクロソフトのデータセンターを直接結ぶ機能も新たに提供することも発表した。
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「スマートバリュー for Business」で同クラウドサービスとモバイル端末をセットにした場合に最大2年間、月額525円を割り引く「クラウドセット割引キャンペーン」(11月~2014年3月末に展開)も新たに開始すると発表した。すでにスマートバリュー for Businessではクラウド、ネットワーク、モバイルの3つのサービスの組み合わせで最大24カ月を月額1480円割り引くサービスを展開している。
「クラウドセット割引キャンペーンの割引額は、Google Apps for Businessの月額料金と同一、Microsoft Office 365の月額とほぼ同額になる。ITが所有から利用に変わる中で料金体系というスタイルの観点からも変えていくことになる」(藤井氏)
シングルサインオンなどのアドオンツールも提供
KDDIでは選べる“3M”として、さまざまなデバイスで利用できる「Multi Device」、auの各種ネットワークサービスを利用できる「Multi Network」、そしてKDDIクラウドプラットフォームサービスとして各種クラウドサービスを提供する「Multi Use」を強みとしている。
同社では、新たにOffice 365とGoogle Apps for Businessのクラウドサービスを提供し、Multi Useのラインアップ拡充に踏み出したが、「グローバルに展開するクラウドサービスがシェアを伸ばしており、KDDIとしても顧客の要望を受けて、この2つのサービスの取り扱いを新たに開始した」とした。
2つのサービスに関しては、導入サポートの「SE技術支援サービス」と導入後サポートの「お客様サポートセンター」を提供。さらに「クラウドサービスとオンプレミスを連動させるなど、KDDIがクラウドインテグレータ-として、個別ソリューションを提供するといったことにも乗り出すことになる」とした。
同社はまた、Office 365向けにアドオンツール「KDDI ネクストセットツール」、Google Apps向けに「KDDI サテライトオフィスツール」を、それぞれ11月1日から提供する。
ネクストセットツールはネクストセットと業務提携し、サテライトオフィスツールはサテライトオフィスとの業務提携し、それぞれ提供する。「Office 365 with KDDI」と「Google Apps for Business」とセットで利用することで、多種多様な組織ワークフローの設定やシングルサインオン(SSO)によるログイン情報の統一、セキュリティポリシーにあわせた細かいアクセス制御などが可能になるという。
ネクストセットツールは「組織ワークフロー」と「SSO」がそれぞれ1IDあたり105円、サテライトオフィスツールは「組織カレンダー」「組織アドレス帳」「SSO」がそれぞれ1IDあたり105円となっている。「アドオンツールは順次追加していくことになる」
KDDI クラウドサービス企画開発部 部長 藤井彰人氏
クラウドファーストでモバイルファースト
藤井氏は、「新規システム導入時にクラウド活用を優先的に検討する国内企業が7割となり、グローバルのスマートデバイスの出荷台数はPCの4倍に達している。クラウドの国内市場成長率は30%以上となっている。このようにクラウドファースト、モバイルファーストの世界が到来することでITが変わり、さまざまなサービスが再定義される時代に入っている」と前置きして、KDDIが提供するサービスの意味をこう説明した。
「必要なサービスが瞬時にモバイルデバイスに対して提供される。そして、モバイル、クラウド、ネットワークの組み合わせでライフスタイルやワークスタイルを変革させている。必要なサービスをいつでも、どこでも利用できる世界へ入ってきた。発電所で発電した電気を多くの人が利用できるようになったことで社会が変わったようなことが、ITの世界でも起こり始めている。モバイルデバイスを持ち、ネットワークを持ち、そしてクラウドを展開しているKDDIの強みが生かせる世界になってきた」