海外ワイヤレスセンサーネットワークビジネスは米国とドイツがけん引
最後に、欧米を中心とした海外WSN市場を見る。
現状では米国がリードしており、特にオバマ政権は「エネルギー管理」「環境/気象モニタリング」「ヘルスケアモニタリング」の3分野を中心としたWSNの利活用を重視している。
また米国ではITS分野におけるWSN利用にも注力。交通事故抑制・予防などを念頭に、自動車や信号機、ガードレールなどに設置したセンサーをもとに、車間距離制御や路車通信に関するプロジェクトが進められている。その他にも、自動車や橋梁、道路等に設置したセンサーを通して、車両走行状態での橋梁や道路の状態監視や橋梁老朽化チェック、重量車両による負荷検出/負荷監視が可能なシステムの開発にも取り組んでいる。さらに米国では、強力な輸出産業である畜産業でのWSNの導入研究(A2M研究)も進んでいる。
欧州ではドイツが先導。中でも、ドイツテレコムがWSN/M2M分野での取り組みを強化しており、エネルギー関連やテレマティクス、ヘルスケアの3分野に注目しているほか、畜産分野へのWSN適用開発も行っている。またドイツでは、WSNの実現における重要な要素技術である省電力・環境発電といった部分において、EnOcean社が独自技術をもとに「エンオーシャン・アライアンス」を主導している。他にも、エネルギー管理分野を中心にシーメンスがなども有力事業者の一角。
他には、TelenorやEricsonといった有力事業者のいる北欧諸国やTelefonicaなどが積極姿勢を見せるスペイン、M2Mソリューションでの世界的な事業者Vodafoneのいる英国などもWSN/M2Mでの注目エリアとなっている。また豪州も、農業や畜産業、水産業、自然・環境といった分野でのWSN研究に注力している。
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- 早川泰弘
- 株式会社矢野経済研究所 情報通信・金融事業部(YanoICT)上級研究員