Microsoftは米国時間の7月14日から4日間、米ワシントンD.Cで年次パートナー向けカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference 2014」(WPC 2014)を開催している。3日目のビジョンキーノートには、2月に最高経営責任者(CEO)に就任したSatya Nadella氏が登場した。
CEOとしての初披露目の場であり、花を持たせる意味での大きなニュースの発表なども期待されたが、結果としてはビジョンキーノートの文字通り、「クラウドファースト」「モバイルファースト」という初日に最高執行責任者(COO)のKevin Turner氏が強調したMicrosoftのビジョンを、CEOとして改めてパートナーに向けて発信するにとどまった。
モバイルファースト、クラウドファーストへ
CEO就任後、初めての公の場となったSatya Nadella氏
Nadella氏は「Microsoftはモバイルファーストとクラウドファーストという世界を見据えた“Productivity & Platform”(生産性とプラットフォーム)カンパニーである」とMicrosoftのコアとなるビジョンを話す。具体的には、OfficeやCRM OnlineなどのアプリケーションやAzureなどによるインフラサービスなどを含めた“クラウドOS”や、WindowsやSurfaceなどを含む“デバイスおよびハードウェア”への取り組みを進めると話した。
やや概念的な言葉使いをするのが特徴と言われる通り、Nadella氏はMicrosoftのビジョンを独特の言い回しで表現する。
「これからは、ProductivityとPlatformの考え方が従来とは異なる世代へと移る。コンピューティングパワーもデータ量も膨大になる中、人にとっての時間そのものが重要になってくる。地球にいるすべての人が何かを得られるような価値を生み出さなくてはいけない。たくさんのデバイスやアプリケーションが存在する中、エコシステムの中で調和していくようにする必要がある」(Nadella氏)
初日のキーノートでTurner氏は、Nadella氏の発言から次の言葉を紹介していた。「われわれは、地球上のあらゆる人や組織が力を発揮し、もっと多くのことを実施し、もっと成果を上げるために、生産性を再構築していく」
「デジタルワーク&ライフエクスペリエンス」を支える2つのOS
このビジョンを実現するための中心に、Nadella氏は「デジタルワーク&ライフエクスペリエンス」を据えた。その方法論が「クラウドOS」「デバイスOS&ハードウェア」の2つの軸だ。
デジタルワーク&ライフエクスペリエンスでは、必ず人が主役になり、仕事やプライベートなど複数の場面でも同じアプリケーションを使えるように設計され、生産性が高まり、(PC、スマートフォン、タブレットなど)すべてのデバイスプラットフォーム向けに構築されていることが重要という。
「電子メール、ファイル共有、コラボレーションソフト、Skype、OneDriveなどさまざまなアプリケーションを使って(パートナーを含め)ベストなものをつくりたい。ただし、アプリケーションを孤立させてはいけない」(Nadella氏)