「コネクテッドカー」の中核となるプラットフォーム覇権
「情報を配信するクルマ」では、渋滞情報や天気、動画や音楽配信、店舗情報の配信など、運転支援からエンターテイメント情報配信まで多岐にわたっており、そのプラットフォームとなるのが、車載OSだ。
車載OSでは、Appleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」が車載向けのOSを提供するなど、IT企業の参入が相次いでいる。HIS Automotiveの調査によると、2020年にはAndroid Autoは4000万台、CarPlayは3700万台がクルマの車載OSに搭載されると予測している。
CarPlayでは、iPhoneに搭載されている音声認識のSiriの機能も利用でき、音声だけで音楽や地図などを操作するといったことも可能となる。認定機器向けには「Works with CarPlay」認定ロゴの登録商標を取得しており、今年はAppleのCarPlayに対応した車載の発売が予定されている。
GoogleのAndroid Autoでは、Google Mapのカーナビ機能やGoogle Playのコンテンツなどを車内で利用できる。2015年には次期バージョン「Android M」を発表予定で、「Android M」はスマートフォンをクルマに接続することなく、Googleのサービスを車内モニターで利用できるようになるという。
Googleは、スマートフォンやタブレットでAndroid OSで大きなシェアを獲得したのと同様に、クルマの車載OSでシェアを確保することで、Googleマップを活用したサービスや位置情報と連動した広告配信といった新たなビジネスの機会を獲得していくだろう。
また、自動車メーカーやスマートフォンメーカーなどが参加する団体「Car Connectivity Consortium」(CCC)が策定する「MirrorLink」も活用が進んでおり、自動車メーカー各社も「MirrorLink」への対応を進めている。
車載OSではスマートフォンとの連携強化を図り、開発者を呼び込むことで、エコシステムの拡大を図っている。自動車各社はこれらの複数の車載OSを採用しており、当面は車載OSの激しい覇権争いが繰り広げられると予想される。その際、自動車メーカー各社が、AppleやGoogleとどのように連携していくのかは、大きなテーマとなるだろう。
スマートフォンにおいて、GoogleのAndroidなどのようにメーカーよりもむしろOSのブランド力が強くなっているように、CarPlayやAndroid Autoがクルマの車載OSに本格的に搭載されるようになれば、収益構造も変化し、クルマへのAppleやGoogleのブランドイメージが強くなり、自動車メーカーのブランドそのものへの意識も変わっていく可能性もある。