今回は、本連載のテーマである「デジタルテクノロジによる企業価値変革」を体現している企業との対談を紹介する。今回取材したのは「チームラボ」の取締役、堺大輔氏。チームラボの創造的なプロダクトの数々はウェブサイトでご確認頂くとして、今回はデジタルの申し子と言っても過言ではないチームラボがどのようなワークスタイルで、どのようにデジタルと向き合っているかを話を聞いた。
テレワークは認めていない
--まず、チームラボのワークスタイルについて簡単に教えて頂けますか。実はチームラボではテレワーク(自社オフィス以外の場所での業務)を認めていないと聞いて、意外に思えたのですが。
そうですね、基本的に勤務時間は決まっているのですが、みんな緩めに守っています。そしてテレワークですけど、基本的に僕らは専門家の集まりなのですが、(バックグラウンドが)超多様なのが特徴です。数学や建築、デザイン、コンピュータ……さまざま領域にまたがっています。そんなメンバーが最高のパフォーマンスを出すためには、やっぱり一カ所に(物理的に)凝縮していた方が良いのです。だからテレワークはわれわれには向いてない。
チームラボ:堺大輔氏
--テレワークを推進する立場としてはリアクションが難しいですが(笑)。社員同士のコミュニケーションにはどんな工夫をしていますか。
まずツール面からお話しすると、チャットツールを多用しており、複数のツールを使ってます。会社のオフィシャルツールは「Jabber」なんですが、Facebookの「Messenger」もGoogleの「Hangouts」も何でも使います。やっぱりリアルタイム性とインタラクティブ(双方向)性を重視したいですね。メールのやりとりではスピードが遅すぎるのです。
--カルチャー面での工夫はありますか。
コミュニケーションのハードルを極限まで下げることを意識しています。ご覧の通り、会議室に仕切りはありません。それから、役職もない。間接部門も最小限にしています。
チームラボの会議室
--確かにこの対談も仕切りのないスペースで実施しています。役職もないというのは徹底していますね。
オープンで、気軽にコミュニケーションできる環境を作ろうと日々改善しています。そしてこれも意外に思われるかも知れませんが、デスクも固定から半固定で、フリーアドレスではありません。プロジェクト単位でまとまりを作っています。とにかく心理的な障壁を取り除くことが重要ですね。
--実は連載の中でも従業員の心理的負担を取り除くべき、という論を展開していて、その鍵は従業員が持つ「選択肢」だと主張しているのですが。
そういう意味ではチームラボには選択肢「しか」ないですね。最低限のセキュリティポリシーはありますが、それさえ守ってくれれば使うツールは自由です。時間よりも成果を重視していますし、何よりも最終的なアウトプットのクオリティが大事だと思っています。たくさんの選択肢を与えて、自分で考えさせています。