海外コメンタリー

法人市場で強まるアップルの存在感--成功の鍵はモバイルとエコシステム - (page 2)

Jordan Golson (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-06-08 06:15

 iCloudには、iPhoneの紛失や盗難の際に、リモートでのロック、現在地の特定、データの消去が可能という付加的なメリットがある。また、自動バックアップ機能によって、新しいiPhoneを買ってすぐに、以前のように使い始めることができる。こうした機能の便利さを過小評価することはできない。スマートフォンを紛失して、自分のデジタルライフを再構築するのに何時間もかけたことがある人なら、そう言うだろう。

 さらにApp Storeがある。多種多様な高品質のモバイルアプリがそろうストアだ。

モバイル市場の競合企業

 Appleは以前、DellやHewlett-Packard(HP)といった他のPCメーカーと競争していた。しかし最近は、こうした企業がモバイル分野ではあまり競争していないため(代わりに、Appleが扱っていない低価格PCやデータセンター機器を販売している)、Appleを取り巻く競争環境は大きく変化した。

 Appleは、アプリや音楽、書籍のストアなどのサービスで、GoogleやAmazonと競争関係にある。GoogleとMicrosoftは、競合するスマートフォンOSとタブレットOSを開発している。Microsoftとサムスンは、モバイルハードウェアにおけるAppleの最大の競合だ。

 2015年に発表されたGood Technologyのレポートによれば、Goodのエンタープライズモビリティ製品を使用している企業において、「iOS」は、アクティベートされているスマートフォンの4分の3近くを占めているという。「Android」が25%、「Windows Phone」と他のプラットフォームは合計でわずか2%だ。

 Appleのモバイルデバイスが、同社の売り上げの大部分を占めている(iPhoneとiPadは合計でAppleの総売上高の78%を占める)ため、はるかに小規模なMacの市場シェアはそれほど重要ではない。多くの保守的な人々はいまだにAppleが主にコンピュータの会社だと考えているかもしれないが、間違ってはいけない。Appleは何よりもスマートフォンメーカーである。そして、少なくともエンタープライズ分野のモバイルを中心とする部分では、競争で優位に立ちつつあるように思える。

エンタープライズ分野でAppleがIT部門にもたらすメリットと課題

 Appleは、IT部門のデバイス管理業務に役立つ製品を数多く作っている。最近アップデートされたモバイルデバイス管理フレームワークもその1つだ。このフレームワークでは、データの管理と保護、App Storeアプリや社内エンタープライズアプリのインストールが可能になるほか、個人用のアプリやデータを、会社の秘密情報を扱うアプリと分けておくことができる。「Per app VPN」や、拡張プライバシーといった機能を使うと、企業とその従業員は必要以上の作業をしなくてもすむ。

 BYODデバイスや会社所有のデバイスは設定が大がかりであり、状況に応じて、コントロールの程度は多くも少なくもなる。企業はデバイスをAppleから直接買うことも、すでにAppleのデバイス管理プログラムに登録された一部のサードパーティー販売店や通信事業者から購入することもできる。

 Appleの設定の主な問題は、IT部門が使い方を学んで、導入すべきものが1つ増えることだ。多くの企業は、前述のGood Technologyや、他の多くのベンダーが提供しているような統合導入プログラムの利用を検討している。

 すでにPCや非Appleデバイス向けのデバイス管理スイートを使用している企業は、それをApple製品にも使い続けられる可能性がある。しかし、Appleの内部デバイス管理がかなり進歩していること(そして同社の良くも悪くも閉鎖的なエコシステム)を考えれば、IT部門は、たとえスタッフに設定方法を教えるのに時間がかかるとしても、Appleのモバイルデバイス管理ツールが一番良い選択だと判断するかもしれない。

結論

 Appleは当面、エンタープライズ分野での競争を続けるだろう。あらゆる人の生活を容易にするAppleのエコシステムの構成要素を、企業が活用することは理にかなっている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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