「情報通信白書」に見る情報通信政策の過去、現在、未来(1)--ICT産業の30年 - (page 5)

田島逸郎

2015-08-17 11:00

 公的機関については、まず教育機関において、ブロードバンドが急激に普及した。教育用コンピュータも児童当たり6.5台と導入が進んでいる。大学においては無線LAN接続を整備した大学が8割を超え、遠隔教育の実施も2013年度で4割弱と活用が進んでいる。医療機関においても、電子カルテの電子化は大病院で5割を超え、レセプトの電子化についてはほぼ完了したと言える。

 行政機関においては、さまざまな形で情報化がなされている。まず、行政サービスとしての行政手続の電子化は、「オンライン利用拡大行動計画」において6分野が「重点手続分野」に指定された。指定された中では輸出入、産業財産権の利用率がほぼ100パーセント、登記や自動車登録、国税でも5割を超えている。

 一方、社会保険・労働保険は増加しているもののまだ2013年で5.7パーセントにとどまっている。重点手続分野以外についても、総手続件数の中でのオンライン利用率は2013年度で45.2パーセントと順調に増加している。特に、図書館、施設の利用予約、地方税の申告でオンラインの利用率が高い。


重点手続分野におけるオンライン利用率の推移
出典:「平成27年版情報通信白書」(総務省)

 災害時のICT利活用については、1995年の阪神・淡路大震災以降利用が模索され、ホームページやブログなど幅広い技術が使われている他、特に東日本大震災以降はSNSにより情報を発信する自治体が増加している。

 以上は主に2000年までの流れを概観したが、近年のスマートフォンの導入はICTの利活用を大きく変えた。従来型のフィーチャーフォンに比べ、スマートフォンではSNS、ショッピング、チャット、ソーシャルゲーム、動画視聴、電子書籍などあらゆるサービスの利用率が顕著に高い。

 スマートフォン保有者へのインタビューによれば、インターネット全般の利用が増えたのが54.0パーセントであり、チャットや動画視聴など個別サービスについても3割から4割程度が利用頻度が増加したと答えている。

 今回は30年のICTの進化について一部を取り上げた。次回は年代や国際的観点でのICTの進化、2030年の予測が情報通信白書でどのように描かれているか解説する。


スマートフォン・フィーチャーフォン・タブレットでのサービス利用率
出典:「平成27年版情報通信白書」(総務省)
田島逸郎
いくつかのスタートアップに関与しながら、スマートフォン情勢に関心を持ち、個人的に調査、記事の執筆などを行っていた。現在は地理空間情報系のスタートアップで、主にGISやオープンデータなどに携わる。

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