ハイブリッドクラウド座談会(3):SDNやDockerは何を変えるのか - (page 3)

怒賀新也 (編集部) 山田竜司 (編集部) 吉澤亨史

2015-10-08 12:20

 2つ目は機械学習です。機械学習については先ほども少し触れましたが、Azureはソフトウェアのロボットが勝手に運用しています。今は顧客のログ監視サービスのようなものをご提供していますが、長期的にはそこに機械学習を絡めてデータを作るようなことをしたいと思ってまして、最終的にSLAが99.999%、つまりファイブナインを目指すためには、そういうものが必要になってくると思います。

 このような、機械学習自体をIT運用に使うという話と、あとは機械学習を使って顧客が自分のデータを使うというのが非常に重要になると考えています。マイクロソフトでいうとバーチャルアシスタントシステム「Cortana」というものがあって、ログを集めるなどいろいろな使い方ができます。

 余談ですが、Cortanaには音声を翻訳する機能が出てくる予定です。Azureのメディアサービスは、字幕をリアルタイムに作って表示できます。それが今は英語なのですが、いずれは瞬間的に日本語に翻訳することも可能になります。これも裏側で機械学習を使っていますが、そういった機械学習を使ってITをよくするっていう観点と、機械学習自体をビジネスに使うという観点で、クラウドが大事になってくると思います。

ZDNet MicrosoftのWorldWide Partner Conferenceでは、基調講演の3分の2くらいを機械学習にあてていました。本気で取り組むとのことなので、今はコグニティブコンピューティングシステム「Watson」が有名ですが、3年後くらいにはバトルになりそうな勢いです。

各務氏 TOEICの勉強が不要になるかもしれませんね。たとえば日本語向けの機械学習で「Cortanaちゃん」というものがありまして、話していくことで文脈などを学習していきます。通訳がいらなくなる世界が見えつつあるんです。映画の字幕の日本語化も、たぶん一瞬でできる。それがクラウドのパワーなんですね。

ハイブリッドクラウドによる演算、保管、通信の変化


ヴイエムウェア ハイブリッドクラウド本部本部長 巨勢泰宏氏
2008年入社し、同社エンジニアリング部門を統括後、2014年よりVMware vCloud Airの事業戦略の立案から市場展開までを牽引。仮想化の既存の顧客を中心に透過的なハイブリッドクラウドの導入の支援を推進する

巨勢氏 インフラとアプリケーションでいいますと、インフラストラクチャは昔から演算、保管、通信の3つに集約されたと思います。このうち通信はNTTコミュニケーションズの林さんが指摘した通り、ハイブリッドクラウドにおいてネットワークの仮想化、もしくはセキュリティの仮想化はものすごく重要だと思っています。そのため、今までのハードウェア依存のネットワークインフラを仮想の世界で展開できるようになってくると、よりITの柔軟性やすみ分けが生きてくると思います。

 保管では、これもAWSの得意分野になるかもしれませんが、(イジェクトできる)ストレージなのかなと思っています。いま存在しているデータの大半が、非構造型データであると考えると、どううまく取り扱っていくかがインフラをドライブしていく企業にとっては非常に重要な課題になると考えています。アプリケーションにおいては、先ほど紫関さんのおっしゃったDockerはVMwareも注力しています。

 その一方でモバイルの領域も多くの企業がPCとサーバのやりとりのITから、モバイルとクラウドのITにシフトしようとしています。今までのアプリケーションをモバイル化していくのは非常にハードルの高いオペレーションでしたが、ここに来てバックエンド環境をサービスとして提供するmBaaS(mobile Backend as a Service)のような非常に便利なSaaSが出てきています。


 そういったものがクラウドに載ってきて、いろいろな人がタッチするような状況になってくると、今まで以上にモバイルの世界が活性化されてきます。そうすると必然的にクラウドの世界も、もっと活性化するでしょう。インフラとモバイルの両方をバランス良くアレンジしていくことが、おそらくここに出席されてるメーカーにとっても重要な命題になってくるのではないかと、私自身は考えています。

 第4回に続く。

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