お盆明けに米Gartnerが発表していた「今年のハイプサイクル」に関するレポート(”2015 Hype Cycle Special Report")の中で、自動走行車("Autonomous Vehicles")が「いま一番話題先行の技術」に選ばれていた。
このサイクル(もしくはカーブ)のパターンに沿って推移していくとすると、ロボットカーは今後いったん谷底に落ちた後、徐々に普及にむかっていくことになるか。いまはそういう段階だと想像される(一気に実現とはいかない、ということ)。
実際に、日産自動車あたりからも「2020年までに(ロボットカー)発売」といった目標が出ていたはずで、また8月半ばにGoogleから出されていたレポート(”Google Self-Driving Car Project Monthly Report”)の中にも、ロボットカー開発プロジェクトの責任者であるChris Urmsonという人物の「現在11歳になる息子が運転免許をとらなくても済むようにするのが自分のゴール」という発言が記されてある。カリフォルニアで免許が持てるのは16歳からだそうだから、こちらもざっくりあと5年……。だいたいそんなスケジュール感で関係各社が動いているかのと想像される。
それとは別に、最近では例えばミシガン大学が音頭をとって「ロボットカー関連の実験を進めるための施設を開設」というニュースが流れていたり、米国内では同分野に関連する「企業、施設の誘致合戦が活発化」といった記事も見かけるようになっている。バズワードとしての「ロボットカー」が下火になるのと並行して、実現に向けた実質的な作業はこれから少しずつ進んでいく、といったところだろうか。
なお前者の話題については7月末にCNETのベテラン記者Stephen Shanklandが写真付きで詳しく報じていた。7月半ばにオープンした「MCity」というこの実験施設、写真をみると、ちょうど自動車教習所のような広さの場所にハリボテ(?)の街並みなどを配したものであることが分かる。
- In this fake city, cars learn to talk to each other - CNET
- A look at Mcity, a test site for self-driving cars (pictures) - CNET
なお「MCity」の取り組みにはトヨタ、ホンダ、日産といった日本の各社も資金提供しているという。その名前から「モーターシティ(デトロイト)の復権」を目指すベイ自動車メーカー中心の動きか、と一瞬思ったが、そういう筋のものでもないらしい…日本の3社に加え、Ford、GMの米2社、そして通信大手のVerizon、チップメーカーのQualcomm、大手保険会社のState Farmあたりも参加。
また、余計なことになるが、ロゴの黄色い「M」とか「Wolverine Ave.」という通りの名前(Wolverinesはミシガン大のフットボールチームやバスケットボールチームのニックネームとしてよく知られている)などからも、この取り組みが同大学主導のものであることがわかる。
バージニアやフロリダ、ミシガンといった各州による誘致合戦の模様を伝えたNYTimes記事にもこのMCityのことが出ている。この記事によると、各自治体が狙っているのは「今後5年間に全世界で200億ドル程度に上るとみられる関連分野の研究開発予算(の一部)」だという。