ウルシステムズは、発注側を支援することを基本にビジネスを展開している。高い技術力によって今までにないシステムの導入を実現している。今回は、同社の代表取締役社長である漆原茂氏に、同社にとっての「攻めのIT」や、これからのシステムエンジニア(SE)はどうあるべきかなどを、同社の取り組みや特徴などとともに聞いた。
ウルシステムズ代表取締役社長の漆原茂氏
――ウルシステムズとはどんな企業か。
ウルシステムズは2000年に立ち上げまして、15周年になります。われわれは発注側にいまして、事業会社のIT部門を支援している日本で唯一の会社と思ってます。そのため、いわゆる日本でいう受注側の企業と相対している専門業者ということになります。なぜそういうことをしているのかというと、シリコンバレーをはじめ欧米ではエンジニアはドル箱なんですね。すごくカッコいい、憧れの仕事なのです。
でも、日本でSEというと「キツい」「辛い」といわれることもある。(イメージが)全然違いますよね。ただし、欧米にはいわゆる受託開発のモデルは存在しません。ですから「米国のSEがやっている仕事」をやりたいと思い、起業しました。
――日本と欧米ではSEの立場が大きく違うというと、具体的には。
そもそも、欧米は日本の人材環境とまったく違います。欧米のSEは、7:3の割合で発注側に関わります。つまり、事業会社が雇用します。そして、ひとつのプロジェクトが終わると解雇する。そのため離職率は40%以上で、安定雇用なんてありません。でも、腕が良ければ次から次へと仕事の依頼が舞い込んできます。
日本はまったく違っていて、そういった雇用はしません。事業会社のIT部門に人が少ないので、人が全然いない中で何とかしなければなりません。そうすると必然的に外部に頼るしかない。日本のSEが携わっているのは受注産業だと理解しています。
受注側にいたら、顧客の指示通りのものを作るわけですから、イノベーティブなこと、面白いことはできないのではないでしょうか。それは産業構造が歪んでいるからです。では本来SEはどうあるべきなのか、それを考えてウルシステムズは活動しています。
――確かにIT部門がアウトソースされているケースは多い。
われわれはIT部門の大部分をアウトソースしてはいけないと考えています。そのため、アウトソーシングというよりは、IT部門の発注力を一緒になって強くしているというスタンスです。ですから業務分析やコンサルティングもしますし、ベンダーに対して提案依頼書(RFP)も出します。
技術も選定して自分たちも踏み込みます。いざとなったら内製開発もします。そのためにSEにはいろいろなスキルが要求されます。それが、いわゆるシリコンバレーの「イケてるSE」なのです。
発注者側で事業会社のIT部門を支援する(出所:ウルシステムズ)