ネットワークにモノがつながりシステムが変わる
モノのインターネット(Internet of Things:IoT)は、ITの世界で注目のトレンドである。ジュニパーネットワークスは、「IoTとは、サイロ化して相互連携がない電子情報のエコシステムを超えて日常生活の質と効率性を高め、価値を創出し、コストを削減することを目的に、さまざまなデバイスとソフトウェアシステムの組み合わせをインターネットでつなぎ、データを生み出し、これらを取り込み、分析する環境」と定義している。
ジュニパーネットワークスの関連会社のジュニパーリサーチが「The Internet of Things 2015-2020 Market trends & Competitive Landscape」(モノのインターネット 2015~2020年の市場トレンドと競争情勢)レポートで指摘しているとおり、単にデバイスをインターネットにつなぐだけでは、たとえそのデバイスが生成したデータをサーバ側に報告できたとしても、自動的にIoTシステムを構築したとはいえない。
データ分析こそが最も重要で、それによりIoT環境に接続している他のデバイス(コネクテッドデバイス)に知見あふれるインテリジェンス情報を提供することができるのである。
ここ数年、多くのリサーチ会社がIoTの成長について驚くような予測を発表している。Gartnerは、IoTを構成するデバイスの数は2020年までに260億台に達し、これらの製品とサービスが生み出す収益は3000億ドルを超えるだろうと予測している 。IDCも、IoT関連製品やサービスの世界市場が2020年までに1兆7000億ドル規模に達するだろうと述べている。
このような予測は他にも数多くあるが、そのすべてに共通していることがある。それは、生活品質と効率性の向上から、よりスマートな都市環境の実現まで、IoTは私たちの日常生活のあらゆる場面において、幅広くメリットをもたらすということだ。ハードウェア、ソフトウェア開発者やデータセンター、プラットフォーム/サービスプロバイダーからデータアナリティクスやインフラの事業者まで、IoTはあらゆる関係者にとって非常に大きな機会をもたらすだろう。
このような背景から、多くの大手ベンダーや企業がIoTエコシステムの構築と支援に投資していることは、驚くに当たらない。
ただし、かつてないほどの膨大な数のデバイスがインターネットに接続して膨大な量のデータを生成するということは、サイバー犯罪者によるハッキングや不正行為に対して、これらのシステムが脆弱性をさらす危険が高まることも意味する。これらの攻撃への絶対的な解決策はないが、業界団体や規制団体は、エンドツーエンドで進化するリスクを軽減するための適切な措置を先回りして継続的に展開していかなければならない。
続発するセキュリティ事案によって、製造の完全性からデータの完全性と可用性まで、セキュリティと消費者のプライバシーに対する重大な懸念がクローズアップされるようになった。IoTのセキュリティは後付けではなく設計とコンセプトの段階から考える必要が生じているのだ。