人工知能(AI)を実装したロボットやドローンや自動運転車に代表される、自律的に行動する「スマートマシン」の普及が進み、雇用の置き換えが不安視される一方、新たな産業の創造や企業の生産性向上などが期待されている。本格的なスマートマシンの普及には、企業ユーザーの要望に応え、AIやロボットやネットワーク、アプリケーションなどを組みわせて構築運用を担うインテグレーターが鍵の1つとなるだろう。
スマートマシンの構造
スマートマシンは、実際に動作させるためには、AIだけでなく、マシンからセンシングや認識技術の実装、アプリケーションのレイヤまで広範囲な連携が必要となる。

ドローンや自動走行車などのスマートマシンを動かすためには、PCのWindows OSや、スマートフォンのAndroidに代表されるようなOSの役割が重要となる。
ロボットでは、米Willow Garageが開発し「Open Source Robotics Foundationが」が維持管理しているオープンソースの「ROS(Robot Operating System)」が提供されている。国内のロボットOSでは、産業技術総合研究所などが開発した「OpenRTM」、日本ロボット工業会が提唱しORiN協議会が維持管理する「ORiN(Open Robot/Resource interface for the Network)」や、ソフトバンク100%子会社のアスラテックの「V-Sido OS」などがある。
ドローンでは、ドローン本体にマイクロソフトのIoT向けOS「Windows 10 IoT」を搭載し、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure IoT Suite」と連携させる取り組みも進めている。
Airware社は、産業ドローン向け専用OSとなる「Aerial Information Platform(AIP)」の2015年4月に発表している。AIPを利用することで、インフラ設備点検から、農業までさまざまなアプリケーションが利用できるようになる。
標準化団体のLinux Foundationはドローン向けOSをオープンソースで開発する「Dronecode Project」を発足し、3D Robotics、Baidu、Box、DroneDeploy、Intel、Qualcommなど50社近くの企業が参画している。
今後、ロボットやドローン向けOSのデファクトスタンダード化に向けた覇権争いは加速していくことになるだろう。
ネットワークでは、IoTの場合は、スマートメーターやスマートホーム、社会インフラ、産業機器など、主に静止しているデバイスやコトが多くを占め、つながるデバイスの数は多く、大量接続に対応したネットワーク設計などが求められる。
エッジコンピューティングや分散コンピューティング、P2P、フォグコンピューティングといったネットワーク構成かつ、「MQTT(Message Queu Telmetry Transport)」のような軽量なプロトコルで、低消費電力なデバイスからのアクセスが多くを占めるだろう。
IoTのネットワーク要件は、1万台のデバイスうち、およそ9950台が常時つながっていればビジネスへのマイナス影響が出ないベストエフォート型のコストを抑えた設計が、主流となると予想される。