クラウドの値打ち

このままだと日本は「クラウド後進国」--デジタル化とクラウド推進は両輪 - (page 2)

戸賀慶 岡本武士

2016-03-25 07:00

 一般的に普及を感じられる数値として、イノベーション普及学で言われるアーリーマジョリティからレイトマジョリティ(ここに浸透させるとサービスとしてはまず成功)に移る普及率50%とすることが多いが、導入率≒普及率と考えると、日本のクラウド導入率38.7%という数字は、「使いたい人が選択して使うサービス」という見方で問題ないだろう。

 現在、「IT先進国」として認知されている日本ではあるが、新興国だけではなく、先進国との比較においても、クラウドサービスの導入率に差があることがわかった今、数年後には、「クラウド後進国」として、グローバル競争から取り残されているかもしれない。

すべてのビジネスがデジタルに

 では、なぜ選択してクラウドを利用する必要があるのか。その答えの前に、いまあらゆる企業が置かれているビジネス環境の認識を共有しておきたい。

 ここ数年、デジタルビジネスへの転換が大きな経営課題になっており、ソーシャルやモバイル、アナリティクス、クラウド、センサといった新しいテクノロジをいかに取り込み、デジタル化に必要な能力を身につけていくかが、多くの先進企業が取り組むテーマとなっている。Gartnerによると、日本企業のデジタルビジネスの準備状況として、実に回答者の70.7%(2015年7~8月の結果)が何らかの形で準備を進めているという。

 デジタルビジネスへの対応が自社の収益性向上、成長、競合他社との差別化を実現するための重要な手段となっており、ITを活用し、高い収益を上げている企業では、いかにデジタル領域での魅力的なブランドエクスペリエンス(企業が生活者に提供するブランド体験)を顧客に提供できるかが、ビジネスの成功のカギとして認識されている。Gartnerによると、調査したビジネスリーダーの89%は、2016年までに、顧客体験が競争における主要な基盤になると考えているとしている。

(図2)代表的なデジタルビジネスの事例
(図2)代表的なデジタルビジネスの事例

 図2は代表的なデジタルビジネスの事例である。FacebookやUberなどの最新テクノロジを巧みに利用して既存の市場を切り開く「デジタルディスラプター」と呼ばれる企業から既存の小売業や製造業、また行政においてもデジタル化の波は避けては通れないものとなってきている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]