年率30%以上を期待できるクラウド市場
クラウド市場は大きな成長を期待されている。市場調査会社の予測では、2020年までの成長は平均年率30%だという。確かに、クラウドの黎明期からビジネスを始めたテラスカイは年率30%以上で成長している。2016年2月期の売上高も、2015年2月期の16億3900万円から7億円近く増える約23億円を見込んでいる。SAPと周辺アプリケーションのクラウド化、つまりSAPユーザーの“オール・クラウド化”は、クラウドインテグレータに高い成長を可能性にさせるだろう。
大きな課題の1つは、それに対応する人材の育成と確保になる。SFDCの技術者を数多く抱えるテラスカイは2015年、新卒と中途を合わせて約40人を採用した。SFDCによる年3回程度のバージョンアップに対応する技術習得を支援する専門トレーナーも社内に確保し、資格取得・更新などに年間3000万円近くを費やす。クラウドなどの技術動向をウオッチする人材も数人配置する。
佐藤社長は「残業は悪」と考えて、技術者に残業をさせない。「勉強する時間を作ってあげれば、技術者は必ず勉強する」からだ。現在もiOSなどの研究チームがあり、技術習得の勉強会などが活発に行われているという。「クラウドの利用が業務の一部から全面的に拡大する企業が増える」。佐藤社長はそんな時代に備えている。

- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。