本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、テラスカイの佐藤秀哉 代表取締役社長と、ユニアデックスの入部泰 代表取締役社長の発言を紹介する。
「MicrosoftがSalesforce.comを買収することはない」 (テラスカイ 佐藤秀哉 代表取締役社長)
テラスカイの佐藤秀哉 代表取締役社長
テラスカイが先ごろ、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。佐藤氏の冒頭の発言は、会見の質疑応答で「MicrosoftなどがSalesfoce.comを買収する話が持ち上がっているが、どう見ているか」と聞いた筆者の質問に答えたものである。
テラスカイは2006年の創業以来、クラウドの導入支援を専業として展開。Salesforce.comのコンサルティングパートナーとして、同社のクラウドサービスの豊富な導入実績を持ち、資本提携も行っている。また、2013年にはAWS関連サービスの導入支援も手掛けており、専業のクラウドインテグレータとしては国内最大手の存在となっている。
同社の強みや事業戦略の内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは会見の質疑応答での佐藤氏の歯に衣着せぬ発言が非常に興味深かったので紹介したい。
佐藤氏はSalesforce.comをめぐる買収話について、「Salesforce.comが成長するにつれ、買収話は折りに触れて以前からあった。米国ではよくあることで、もし買収が実現してもおかしい話ではない。ただ、Marc Benioff 最高経営責任者(CEO)の性格からすると、(取り沙汰されている)MicrosoftにSalesforce.comを売却することはないと断言していい」と語った。
同氏はSalesforce.com日本法人の立ち上げに参画し、執行役員営業統括本部長を務めた経緯もあり、Benioff氏のことはよく知っているという。その同氏の“断言”だけに信ぴょう性を感じた。
Salesfoece.comをめぐる買収話では、Microsoftをはじめ複数のベンダーの名前が挙がっているが、「本命はSalesfoece.comがもともと深い関係にあるOracle。複数ベンダーとの話は、買収金額を積み上げる作戦とも見て取れる」(業界関係者)との見方もある。
もう1つ、佐藤氏の発言で興味深かったのが、オープンソースのIaaS構築基盤「OpenStack」に対する見方。「個人的な意見だが、OpenStackは流行らないだろう。なぜならば、(OpenStackと競合する)AWSやMicrosoft Azureの成長スピードに追いつけないからだ。AWSやAzureの機能強化のスピードは、ものすごいものがある」と語り、クラウドサービスはスピードが決め手になるとの見解を示した。