General Electric(GE)は2015年、デジタル変革を電力などユーティリティ分野にもたらす広範な取り組みを発表した。本記事では、その取り組みの進捗状況や開発者雇用、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)、セキュリティ、クラウド、アナリティクスについて解説する。
GEはGE Power内部にGEデジタルソリューションズ部門を設立し、エンタープライズソフトウェア分野で豊富な経験を持つGanesh Bell氏を責任者に任命した。
Ganesh Bell氏
その狙いは、IoTとクラウド、アナリティクスをユーティリティ分野に提供し、よりよいサービスと新しいビジネスモデルを作り出すことだ。GEは2015年9月、「Digital Power Plant」スイートの概要を発表し、今では15の新規顧客が同プラットフォームを利用している。
さらに、デジタル産業エコシステムを発展させるアライアンスプログラムも発表した。われわれは、GE Powerのデジタルソリューションズ部門の最高デジタル責任者(CDO)を務めるBell氏に、ユーティリティ分野のデジタル化や開発者の雇用、GEのソフトウェア事業の変革について話を聞いた。以下はその内容をまとめたものだ。
Digital Power Plant(デジタル・パワー・プラント)の導入状況はどうなっているのか。GE DigitalはDigital Power Plantクラウドソフトウェアに関して、15の新規顧客を獲得している。顧客によって、デプロイメント段階はまちまちである。Bell氏によると、GEの目標は発電所全体、つまり運用とITをデジタル化してスタック全体に接続することであり、スタックには、クラウドからセンサ、タービンのようなシステムのマシンまでが含まれるという。同氏は、「われわれが提供しているのは、デジタル産業スタックだ」と述べた。具体的には、GEは資産パフォーマンス管理と運用最適化、およびビジネス最適化をカバーする3つのカテゴリのクラウドアプリケーションを提供して、収益性を向上させる。Bell氏によると、企業はERPソフトウェアに慣れているが、ユーティリティ事業者は状況が異なるという。同氏は、「情報技術(IT)と運用技術(OT)はこれまで別物だった。われわれは、この溝を埋める必要がある」と述べた。
将来、重要なインフラストラクチャへの攻撃は増加するのだろうか。ユーティリティ分野が運用とITを接続しようとしていることを考えると、セキュリティのことが心配になるのは当然だ。Bell氏はこの問題に正面から取り組み、さまざまな資産が既につながっている現実に言及した。例えば、Targetのデータ流出は、暖房換気空調(HVAC)システムの業者が原因で発生した。Bell氏は、「攻撃は現在もこれまでも発生しており、企業は分かっていないとわれわれは考えている。われわれがIoTやクラウドに接続していなくても、それは重要なことではない。資産は既にデータネットワークに接続されているというのがわれわれの考えだ」と述べた。接続されたアプリケーションや資産は迅速なアップデートが可能なので、接続されていないものより安全だと同氏は付け加えた。GEは、GE製の資産とそうでない資産の両方を保護するサイバーセキュリティスイートを提供している。すべてのユーティリティ事業者は自分たちにエンドツーエンドセキュリティが必要なことを認識していると同氏は指摘した。