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AWS日本法人幹部が説く「クラウドの6つの特性」

松岡功

2016-10-26 12:12

 Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスは、企業の個別ニーズに応じた利用環境も提供している。その内容について同社日本法人の幹部に取材したところ、「AWSが考えるクラウドの特性」の話が印象深かったので記しておきたい。

仮想プライベートクラウドでハイブリッド構成も可能に

 AWSのサービスといえば、不特定多数でITリソースを共用するパブリッククラウドサービスのイメージが強いが、実は、企業の個別ニーズに応じた利用環境も提供している。その代表的なのが、「仮想プライベートクラウド(Virtual Private Cloud:VPC)」サービスである。

岡嵜禎氏
取材に応じるアマゾンウェブサービスジャパン技術本部長の岡嵜禎氏

 AWSが手掛けるVPCとはどのようなものか。同社の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパン技術本部長の岡嵜禎氏に取材する機会を得たので聞いたところ、VPCの話とともに、AWSが考えるクラウドの特性の話が印象深かったので、今回はこれらの話を取り上げたい。

 AWSのVPCは、仮想プライベートネットワーク(VPN)あるいは専用線を使って、AWSのサービスを文字通り仮想的なプライベートクラウドとして利用する仕組みである。企業の個別ニーズに応じた利用環境ではあるが、AWSクラウドのリソースを必要なときに必要な分だけ使用でき、使用した分だけ時間単位で料金を支払う形は、AWSが従来提供してきたサービス形態と全く同じだ。

 岡嵜氏によると、VPCを活用することで、さらにAWSのサービスと企業のオンプレミス環境のハイブリッド構成も容易に実現できるという。例えば、下図のように専用線で接続することにより、企業はAWSクラウドを自社データセンターの延長として利用できるようになる。この図では、AWSクラウド上に業務ごとのVPCを設け、専用線によってそれぞれが既存のデータセンターと接続された形を表している。

図1
VPCサービスを活用したオンプレミス環境とのハイブリッド構成
(出典:アマゾンウェブサービスジャパンの資料)

 こうしたハイブリッド構成について岡嵜氏は、「オンプレミス環境をクラウドに移行したいと思っても、さまざまな事情から一足飛びには実行できないという企業が少なくない。そうした場合に向け、まずハイブリッド構成から始めて徐々にクラウドへ移行するさまざまな手立てをAWSでは用意している」という。すなわち、ハイブリッド構成はクラウド移行への“過渡期”というわけだ。これはAWSならではの見解である。

パブリックもプライベートも区別がないAWSクラウド

 VPCというサービスはあるものの、実はAWSでは一般的に言うパブリッククラウドやプライベートクラウドの区別をしておらず、「あくまで自分たちが考えるクラウドの特性を追求し続けている。従って、企業ユースとして提供しているサービスも、その特性を踏まえたものとなっている」(岡嵜氏)という。

 AWSが考えるクラウドの特性とは次の6つからなる。

AWSが挙げるクラウドの6つの特性
AWSが挙げるクラウドの6つの特性(出典:アマゾンウェブサービスジャパンの資料)

 1つ目は「初期投資が不要」。これまでITを利用する際は、まずハードウェアやソフトウェアなどを購入する必要があったが、クラウドを利用すれば、そうした初期投資を行うことなく、すぐに使い始めることができる。 

 2つ目は「実際の使用分のみ支払い」。使用量も分からないうちにデータセンターやサーバに多額の投資を行うのではなく、ITリソースを使用したときに使用した分だけ支払う方法に変えることができる。すなわち、固定の償却コストを変動コストに転換できるようになる。

 3つ目は「継続的な値下げ」。AWSでは得た収益をもとに新サービスや機能の改善を行い、サービス料金を継続的に値下げすることによって利用者にメリットを提供し続けており、これこそがクラウドサービスのビジネスモデルだとしている。この考え方は親会社のAmazon.comから引き継いでいるものだという。

 4つ目は「セルフサービスなインフラ」。利用者がやりたいことをすぐに始めたいと思えば、IT会社を通さなくても自ら端末を数回クリックするだけで、AWSが世界中に設けている複数のリージョン(データセンター群)にアプリケーションを容易に展開することができる。つまり、セルフサービスによってすぐにAWSのインフラを活用できるという意味である。

 5つ目は「スケールアップ、ダウンが容易」。必要なときに必要な分だけITリソースを利用できるのがクラウドの利点だが、スケールアップだけでなくスケールダウンにも迅速に対応できるサービスは数少ないという。AWSのサービスはそうしたアップダウンの実行を数分で行うことができるとしている。これは取りも直さず、必要なインフラ容量を予測する必要がなくなることを意味している。

 そして6つ目は「お客様のビジネススピードを改善」。これまでの5つの特性によって、ユーザーにとってはビジネススピードを大幅にアップできるとしている。岡嵜氏はこの点について、ビジネススピードではなく「ビジネスアジリティ」という言葉を取材中に幾度も使っていた。

 これら6つは、取りも直さずAWSクラウドの特長であり、理念ともいえる。これまでも断片的に聞いてきた内容ではあるが、岡嵜氏の話が分かりやすかったので改めて記しておきたい。他のクラウドサービスと比較する際の論点にもなるだろう。

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