先進企業的な取り組み事例
国内外の先進的な事例について、環境などが異なることを踏まえ、健康経営の実践に向けた体系をもとに比較しながら、事例の紹介を行う。
健康経営の取り組みを実践するためには、「経営基盤から現場の施策まで」の様々なレベルで連動・連携することが重要であり、(1)経営理念・方針、(2)組織体制、(3)制度・施策実行、(4)評価・改善、(5)法令遵守・リスクマネジメントの5つの取り組みに分類される。本稿ではこれらの具体的事例を紹介したい。
これらの事例を見ると、SMAC(Social、Mobile、Analytics and Cloud)など、デジタル時代の先端テクノロジを有効利用している点が興味深い。
- ローソン
- 伊藤忠
- マッコーリー・グループ(オーストラリア)
個人の健康目標を設定し、宣言、スマートフォンで状況を確認し、さらに、健康に関するe-ラーニング、健康イベント参加によるポイント付与するゲーミフィケーションを用いた「ローソンヘルスケアポイント」の独自開発・運用をしている。このように、個人の健康管理のためのツールは、健康経営を成功するための1つのアイテムとなる。
ローソンの健康経営への取り組み概要
伊藤忠では、定期健康診断で再検査ギリギリの20歳代~30歳代の生活習慣病予備群に、ウェアラブル端末を支給し、睡眠時間、血圧数、脈拍、歩行数などのデータを集計している。また、看護師からの保健指導、スマートフォンで食事の写真を撮影し、オンラインで管理栄養士と相談できるシステムの導入など、積極的に取り組んでいる。また、土日も含めた栄養バランスに留意した食事の提供のほか、同僚や先輩とのコミュニケーションの活性化も狙った独身寮の新設を予定している。
食生活改善の仕組み、コミュニケーションなどの活性化の仕組みを企業が行うことも健康経営の1つのアイテムとなる。
伊藤忠の健康経営への取り組み概要
ウェルビーイング(満足できる生活状態・幸福度)の向上を「空気」「水」「栄養・滋養」「照明」「運動」「快適性」「心」の7つの概念より、オフィス空間の評価を行っている。しかし、施工時の評価は分かりやすいものの、長期間利用することから、各項目をモニタリングする仕組みが必要となる。
長時間勤務する職場の環境を変えることも健康経営の1つのアイテムとなる。
マッコーリー・グループ(オーストラリア)の健康経営への取り組み概要