Appleに突きつけられている最大の課題は、ほころびのある事業が多すぎることかもしれない。「iCloud」サービスは、GoogleやMicrosoft、Amazonのサービスと比較すると、依然として最高クラスではないかもしれない。最新の「Apple Watch」は、Apple本来のデザイン水準に達していない。同社の新しいノートブック端末は、パワーユーザーの忠誠心に頼ったものになっている。「iPad Pro」シリーズは、いまだに誰のためのデバイスかという点に疑問が残る。
2016年のAppleにとって、もっとも明るかったニュースは、予想を上回る「iPhone 7」の成功だっただろう。ただしAppleは、9月に最新のiPhoneを発表するまで、2016年の大半はずっと期待度を下げ続けてきたことも忘れてはならない。また、サムスンの「Galaxy Note7」の大失態によって、市場からの関心と売上の両方が維持されたという側面もある。
iPhone 7が成功したにも関わらず、iPhoneの全体的な売上は減速し、高品質で低コストのAndroidデバイスが、中国での需要を奪った。iPhoneが同社の売上高の70%近くを占めていることを考えれば、これは同社にとって2016年最大の危険な兆候だと言えるだろう。2017年には、Appleはあらゆる面で(特にソフトウェアとサービスで)多くの見直し行う必要がある。また、iPhone発売10周年をホームランで飾る必要があるだろう。
4.PC:レコードのように勢いを失う
Microsoftの「Surface Pro」と「Surface Studio」、Appleのタッチバーを採用した「MacBook Pro」、変形が可能なLenovoの「Yoga」シリーズなどを見ると、数年間の停滞期を経て、PC市場は突然再び興味深い市場になっているように見える。
数年前には、PCはタブレットとスマートフォンによって絶滅に追い込まれそうに見えた。その状況は今でも変わっていないのかもしれない。PCの出荷台数は減少しており、再び改善する見込みは小さい。さらに悪いことに、「Amazon Echo」などのデバイスに組み込まれた、音声操作できるデジタルアシスタントが、PCが一般家庭で果たしていた役割を奪いつつある。ただしビジネスユーザーは、今後もPCを利用し続けるだろう。この層のユーザーは、文字を入力したり、図を書いたりする必要があり、PCはそれらの作業により適した形に進化している。これは将来、従来よりもPCの出荷量が減り、価格は高くなり、デザインが良くなっていくことを意味している。
今後、PCはどちらかと言えばニッチなデバイスになり、期待以上にクールなものになっていくだろう。ひょっとすると、PCはレコードと同じ道をたどるのかもしれない。大多数の人の関心は薄れるが、一部の目の肥えた人たちには評価される存在になる可能性がある。