松岡功の一言もの申す

大手企業によるデータ分析子会社設立が新たなトレンドに

松岡功 2017年03月23日 13時31分

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 BtoC事業を展開する大手企業がビッグデータの活用に向け、データ分析を専門に行う子会社を設立し始めている。この動き、企業のデジタル化に向けて新たなトレンドになりそうだ。

KDDIとアクセンチュアがデータ分析の合弁会社を設立

 KDDIとアクセンチュアが先ごろ、データアナリティクスを活用し、KDDIの事業におけるカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)の向上とパートナービジネスの推進を目的とした合弁会社「ARISE analytics(アライズアナリティクス)」を設立したと発表した。

 新会社はKDDIの連結子会社として今後、KDDIグループのデータ活用の中核的な役割を果たし、通信や電子商取引、IoT(Internet of Things)などの領域でAI(人工知能)を含めた先進的なアナリティクスを提供していくとしている。

 発表内容の詳細については関連記事をご覧いただくとして、両社の社長が今回の発表に寄せたコメントを抜粋して紹介しておこう。

 「KDDIはカスタマーエクスペリエンスを提供するビジネスへの変革を目指している。このためには、顧客ニーズをつぶさに把握し、最適なタイミングでサービスを提案することが必要で、高度なアナリティクスの活用が欠かせない。アクセンチュアはグローバル規模でアナリティクス領域のリーダー企業として認識されており、今回の合弁会社の設立によって同社が持つアナリティクスに関する豊富な知見やノウハウを活用し、さらに新規ビジネスの創出に向けた動きを加速していきたい」(KDDI社長の田中孝司氏)

 「新会社がKDDIグループのデータ活用の中核として、KDDIの顧客価値の最大化と事業機会の創出を実現できるように、アクセンチュアがこれまで培ってきたアナリティクス領域のノウハウを最大限活用して、KDDIのデジタル変革のパートナーとしてさらなる支援を続けていきたい」(アクセンチュア社長の江川昌史氏)


左から、KDDI理事バリュー事業本部バリュー事業企画本部長の新居眞吾氏、KDDIバリュー事業本部(4月にARISE analytics社長就任予定)の家中仁氏、Accenture Data Science of Excellenceグローバル統括兼アクセンチュア アナリティクス日本統括マネジング・ディレクターの工藤卓哉氏

ファーストリテイリングの「情報製造小売業」への挑戦に続け

 こうした形で、BtoC事業を展開する大手企業がデータ分析を専門に行う子会社を設ける動きは、企業のデジタル化に向けて新たなトレンドになるのではないか。そう感じた筆者は発表会見の質疑応答で、KDDIには子会社を設立した背景、またアクセンチュアには海外を含めて同様の事例があるかどうかを聞いてみた。

 これに対し、KDDI理事バリュー事業本部バリュー事業企画本部長の新居眞吾氏は、「KDDIとしてデータ分析を強化するのは至上命題。そこでこの分野に強いパートナーと組む必要があると考え、アクセンチュアと合弁会社を設立するに至った」と説明。そして「他業界の例ではあるが、ファーストリテイリングがアクセンチュアと合弁会社を設けて進めている取り組みと同じ発想だと理解していただいていい」と語った。

 また、Accenture Data Science of Excellenceグローバル統括兼アクセンチュア アナリティクス日本統括マネジング・ディレクターの工藤卓哉氏は、「社名は公表できないが、海外でもデバイスを手掛ける企業などと同様の取り組みを始めている例はある。製品からサービス、そしてカスタマーエクスペリエンスを提供することが新たなビジネスモデルになりつつある中、企業にとっては自社だけでデータ分析を行うことが難しくなってきている。今後、今回のようなケースを始め、異業種によるパートナーシップが増えてくるのでないか」との見解を示した。

 ちなみに、新居氏が例に挙げたファーストリテイリングは、2015年6月に「消費者サービスにおけるデジタルイノベーションの実現」を目指して、アクセンチュアとの協業を発表。同9月には合弁会社を設けて活動を始めている。さらに今年3月16日、東京・有明に大型のオフィス兼物流拠点を開設した際には、同社会長兼社長の柳井正氏が「アパレルの製造小売業(SPA)から“情報製造小売業”へと変革する」と打ち出した。

 ファーストリテイリング、そしてKDDIはBtoC事業を展開しているが、今後データ分析がIoT領域へ広がることを考えると、データガバナンスや専門人材の確保なども相まって、企業にとってはデータ分析をどのような体制で行うかが大きな課題になってくるのではないか。とりわけ大手では、データ分析に精通した企業と組んで専門子会社を設ける動きが新たなトレンドになりそうだ。

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