商品化
GEのデジタルゴーストという取り組みは現在、プロトタイプの徹底的なテストをしている段階だという。エンジニアらは実世界のデータを吟味し、このアプローチをテストする必要がある。Parris氏は「われわれは現在、ガスタービンと蒸気タービンを用いてパイロット試験を実施している」と述べている。
業界
Parris氏によると、デジタルゴーストというアプローチはスマートグリッドやスマートシティで利用できるという。組み込み制御システムを持つインフラであれば何でも、デジタルゴーストツールの恩恵を享受できる。当初の取り組みはレガシーシステムに関するものとなるだろう。
デジタルツイン
GEはこれまで60万に及ぶデジタルツインを配備してきており、現実を取り込んで柔軟に変化するデジタルモデルを目指すというこのアプローチによって、機器のサービスをより効率的に実施できるようになったとParris氏は述べている。同氏は「正確なデジタルモデルの存在は、その環境に関するすべてのデータや情報の存在を意味している。このようなデータから問題の発生前に警告が得られるため、機器運用を計画停止したり、あらかじめ計画を立てられるようになる」と語っている。メンテナンスサービスに関して言えば、デジタルツインというアプローチによって、故障修理コストの削減や、顧客への影響の低減が実現されている。またデジタルツインは、エンジンを高温かつ粉じんの多い場所で稼働させる航空業界のような特殊な状況でも威力を発揮する。
データが経済に及ぼす影響
Parris氏は、デジタルツインと、それによってもたらされるデータが他の業界にも影響を与えていくと考えている。例を挙げると、故障を減らし、メンテナンス面で先手を打てるようになった航空会社は、保険料を削減できる可能性がある。これにより、金融サービス企業が航空機や設備に対する資金の提供により前向きになる可能性もある。
過去のデータ
GEのサービス契約では、データの共有を顧客に求めている。過去のデータはGEの機械学習機能にとって高い価値を持ち得るが、落とし穴もある。Parris氏は、「すぐにデータを使用しなければ、どのようなデータを保持しているのか分からなくなる」と述べている。同氏は、たいていの企業がデータの正規化や整形といったことに注意を払わずに、そのまましまい込んでしまっている点を指摘するとともに、「過去のデータが正確性を欠いていたり、適切なデータを収集していなかったと後になって分かる」と述べている。同氏は、中国のある航空会社が長距離便を運航していたものの、今ではハブ空港間や近距離の便のみを運航するようになったという例を挙げ、「一部のデータは使いものにならなくなっている」と述べている。