スウェーデンに拠点を置き、520億ユーロ(約6兆7000億円)の資産を持つプライベートエクイティ企業のEQTは、ドイツのLinux大手SUSEを新規株式公開(IPO)でスピンアウトする準備を進めているという。Reutersと米ZDNetの情報筋によれば、SUSEのIPOは総額70億~80億ユーロ(約9000億~1兆円)になる見通しだ。
IPOによるSUSEのスピンアウトは、2020年後半から計画されていたとみられる。その前にもSUSEは何度か、所有者が変わっている。まず、Novellが2004年に買収した。次にAttachmateが2010年に、Microsoftから資金提供を受けて、NovellとSUSEを買収した。そして2014年に、Micro FocusとAttachmateの合併を経て、SUSEは独立事業としてスピンオフすることになった。EQTは2019年3月、SUSEをMicro Focusから25億ドル(約2800億円)で買収した。
SUSEはそれ以来、成長を続けている。2020年9月に発表されたSUSEの第3四半期決算の売上高は、前年同期比で14%増加した。これは新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済が影響を受けている中での業績だ。
クラウドの年間契約受注額(ACV)が前年比81%増と極めて好調だった。これにより、ACVは14四半期連続で前年比増を達成した。
また同社は、100万ドル以上の大型案件が35%増、「SUSE Linux Enterprise Server(SLES) for SAP Applications」のACVが50%増、米国におけるACVが25%増となった。
SUSEのビジネスモデルは進化し続けている。同社は、CanonicalやRed Hatと肩を並べるLinuxディストリビューターの大手だが、コンテナとクラウドにも注力している。SUSEは2020年7月、Rancher Labsを買収すると発表し、Kubernetesにおける大きな動きを見せた。
Reutersによると、IPOの主幹事はBank of AmericaとMorgan Stanleyが務め、共同引受幹事としてGoldman Sachs、Deutsche Bank、Jefferiesが参加する見通しだ。IPOは5月に実施される可能性があるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。